毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

資本主義は生命を誕生させる事はできない~均一化に向かって加速するだけ

 超訳 種の起源 ~生物はどのように進化してきたのか (tanQブックス)

中高生からチャレンジできるよう「親しみやすい文体で読みやすく訳し直しかつ重要箇所のみセレクト、イラストも適宜追加

f:id:kocho-3:20140923090322p:plainダーウインはカワラバトは木の枝に巣を作らない。この共通点をもつ様々なハトは一つの種から多様化したと考えた。

 
ダーウィンの自然選択

自然界では、生息する環境に合う特徴を備えた個体が生き残り、子孫を残す。これは、生物が「自然に選ばれている」と考えることもできるであろう。そこで私は、この現象を「自然選択」と呼ぶことにした。

変化と進化という言葉

ダーウィンは「種の起源」の中で、はじめは「進化(evoluirton)という言葉は使わなかった(第6版ではじめて使用」。進化と呼ばず、「変化(modification)」と読んだのだ。生物は、代を重ねる毎に徐々に変化していく、とダーウィンは考えたが、必ずしも、「より高度に」「より複雑に」変化する訳ではない、と考えていた。

進化論と差別

ダーウィンはだた、「たまたま」その場の環境に適応し、生存競争に勝った生物が選択される、と言っただけだ。しかし、これは「優れた者が生き残る」「劣った者に生きる価値はない」と解釈されやすい。・・・ここで最も問題なのは「優れている」という言葉の意味が非常に曖昧、ということだ。絶対に優れていると言えるものはどこにもない。何が優れていて、何が劣っているかは、人間が勝手に決めるのである。(36ページ)

進化論と資本主義

ダーウィンの理論は、資本主義の正当性を主張するのにも利用された。競争に勝った者が富を得て、破れた者が貧しくなるのだから自然の摂理に適っている、だから破れた者に手を差し伸べる必要はない、というのだ。・・・だが富を独占し、弱者を助けたくないと考える人に、ダーウィンの理論は悪用された。自分が弱者を助けないのはそれが自然の摂理だからだ、と言って、自分の行動を正当化しようとしたのである。

種の起源の前提となる人口論と斉一説

トーマス・マルサス人口論は「人口の増加が生活資源を生産する土地の能力よりも不等に大きいと主張し、食糧が不足をすればそれを巡って熾烈な競争が発生する」と主張した。そしてチャールズ・ライエルの斉一説は「昔も今も、地球上で起きていることは常に同じ、突発的な事は起きない。」という考え方であり、当時聖書から地球の歴史は6,000年と考えられていた事を否定し、地球の歴史は相当長い事を説明した。

 
種の起源と資本主義について考えた事

ダーウィンは「自然界では、生息する環境に合う特徴を備えた個体が生き残り、子孫を残す。」と主張した。これが資本主義、目的論などと合体した時、様々な不幸が生まれた。私が本書から再度認識した事は進化論と資本主義の関係。資本主義は適者が拡大するスピードを人為的に加速する事ができる。なぜなら資本主義は貨幣価値で何が優れているか、という基準を明確にしたからである。逆に資本主義は急速な勢いで適者が拡大する結果、ゴールに到達するもの速い。その時資本主義自ら「変異」を生む事は可能であろうか?資本主義には革新を生む力は存在しないのかもしれない。

蛇足

資本主義は加速するだけ。