将棋電脳戦でコンピュータはプロ棋士チームに勝ったのか?~我々は自ら変化できる生き物である。
集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ (中公新書) 西垣氏は情報論・メディア論の研究家。「インターネットによる集合知の出現は何をもたらそうとしているのか」
将棋電王戦 HUMAN VS COMPUTER | ニコニコ動画2014年4月12日
本当にコンピュータは将棋の名人に勝ったか?
勝ったのはコンピュータではなく、たくみな将棋用ソフトを開発したコンピュータ研究者なのである。(いったいコンピュータが自分でプログラムを書いたとでも言うのであろうか?)コンピュータという道具を活用すれば、普通の人間でも将棋の天才に勝てる、というのがこの勝負の意味する所なのだ。意地悪く言えば、信じられないほど高速なプロセッサと途方もない大容量のメモリを駆使しない限り、明示的な知識の形式的活用によって暗黙知を持つ名人を倒す事ができない、とも解釈できる。(98ページ)
20世紀的なコンピュータとは(TYPE1汎用大型コンピュータ)
人間の思考というものの理想型を「型式的ルールに基づく論理命題の記号操作」とのみとらえ、それを実現する「汎用機械」としてコンピュータを位置づける、という20世紀的な考え方が、大きな壁にぶつかったということ以外ではない。(71ページ)
21世紀にかけてAIからIAへ、(TYPE2パソコンとインターネット)
「AI(Artificial Intelligence)」からIA(Inteligence Amplifter)」への転換である。コンピュータに問題解決を丸投げするのではなく、コンピュータの能力を上手に使って人間の知力を高め、問題を解決するという方向にほかならない。コンピュータは、人間のような知識を持つかわりに、人間の知能を増幅(Amplify)する役目を帯びるのである。(中略)第一は、一人の人間がコンピュータとリアルタイムで対話しながら思考するということ。そして第二は、多数の人間同士が、通信回路で相互接続されたコンピュータ群介してつながり、情報を共有してたがいに対話しながら、問題を解決するということである。(70ページ)
将来のTYPE3は?
切望されるのは、人間のコミュニュケーションにおける身体的・暗黙知的な部分を照射し、人間集団を感性的な深層から活性化し、集団的な知としてまとめあげるためのマシンなのだ。(中略)具体的にいうと、マイコンにリアルタイムOSとセンサーが組み込まれた各種のヒューマン・インターフェース・ハードウェアである。さらに全体としては、それらを連結するネットワークや分析ソフトウェアシステムなどから後世されるものになるだろう。
我々は将棋とコンピュータのニュースから、コンピュータが人間の知力をある部分においては上回った=勝った、と認識していないか?西垣氏は人間の特徴は変化する環境に臨機応変に対応する事、と表現する。コンピュータプログラマはi一定のルールで変化する将棋というゲームで棋士に勝てるプログラムに開発する事に成功した、という事を再確認した。
蛇足
我々の強み、自ら変化できる事。