今、未来は必ずやってきる、と実感していますか?~『できる社員は「やり過ごす」』高橋伸夫氏(2002)
高橋氏は経営組織論の研究家、上司の無理難題を「やり過ごし」、部下の「尻ぬぐい」までする人々、それは日本型年功序列型企業のもつ、未来傾斜原理が働いている。(2002)
未来を実感する
未来を実感するのに、とりたてて想像力や構想力にすぐれている必要はない。わたしのようなふうつのおじさんや、ふつうのおばさんであっても、「自分がいなくなっても、自分ののこしたものはつづいていく」と気がつけば、未来を実感できるのである。そして、それは未来傾斜型の組織に所属し、見通しの高さを体感することでかなえられる(214ページ)
未来係数
未来係数が大きいということは、未来はかならずやってくると考える傾向が強いことを意味している。・・・つきあいがいつまでもつづく世界。未来がかならずやってくる世界。未来が割り引かれず、現在に劣らず重要な世界。そこでは未来のことをしっかり考えたプログラムやシステムが生き残ることになる。(152ページ)
未来傾斜原理
未来傾斜原理とは、わかりやすくいえば、過去の実績や現在の損得勘定よりも、未来の実現への期待に寄りかかって現在の意思決定をおこなうという原理である。高い未来係数の世界で、現在の刹那主義的な快楽、充実感よりも、将来のことを考え、いまは多少我慢しても未来をことを選択する意思決定のことである。だから、実際には未来係数が高いとはいえないような企業にあってさえ、我々日本人の多くは未来傾斜原理に則って、(短期的には利益にならない)「やり過ごし」「尻拭い」のような行動をあえて選ぼうとする。自分が定年を迎えるまで、会社そのものが安泰でありつづける保証などないような状況にあってさえ・・・・(153ページ)
見通し
未来におおける自分と会社とのかかわり方、そしてその程度にたいする一種の思い入れが行われている(組織)(134ページ)
自分がいなくなっても、自分ののこしたものはつづいていく
高橋氏は業績の良い日本の企業の強さは、係長クラスが上司の無理難題を「やり過ごし」、部下の「尻ぬぐい」まですることにあるという。それは係長たちが、自分がいなくなっても、会社は続く、あるいは会社が続かせたい、と考えているからだ、と説明する。本書ではこれを未来傾斜原理という言葉で説明する。そして強い組織とは未来傾斜原理で思考、行動する人が多い組織ということになる。経営とは未来志向できる人をどれだけ集められるか、と言い換えられる。
未来が来るのは当たり前、と思えるか?そう思って行動しているか?組織論を越えて、一個人として担うべき人生のテーマである。
蛇足
未来は自分の代では完結しない
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