毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

模倣とイノベーションは対立する概念と思い込んでいないか?~『コピーキャット、模倣者こそがイノベーションを起こす』オーディット・シェンカー 氏(2013)

コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

シェンカー氏は国際経営の研究者。ビジネスにおいて、模倣はイノベーションと同様に重要である。模倣はイノベーションよりも早く安く商品ができるうえ、低リスクで収益性が高い。本書で模倣とイノベーションの組み合わせを提唱する。

 

イノベーション+イミテーション=イモベーション

 

卓越した模倣者の例を探していて、驚いたことがある。模倣者がイノベーターとしても知られているケースがとても多いのだ。ウォルマートがそうだし、IBM、アップル、P&G、・・・GEはイノベーターの名前を欲しいままにし、頻繁に模倣されている会社である。・・・(一方でGEもまた)他社の優れた慣行を模倣して、高い技術力を持つライバルとの競争に打ち勝っているのだ。このような企業のことを「イモベーター」と呼ぶ。イモベーターは、模倣はイノベーションと相いれないものではなく、むしろイノベーションを補完するものととうことをよく分かっている。(17ページ)

 

何をイノベートし、何をイミテートするか?

 

 

「他のやり方を発明することが消費者の便益にならないか、そうする価値がはっきり認められないのであれば、あえて発明する必要は感じない」(P&G)

イノベーションは大きな競争優位につながる。模倣の目的は・・・競争で不利にならないようにすることだ」(ペプシコ

イモベーターはイノベーターの能力とイミテーターの能力を兼ね備えている。(18ページ) 

黒と白

 

黒と白の対立する二つの色で見えていた模倣とイノベーションが、相補性や相乗効果を持つ様々な色合いで見えてくるようになるだろう。模倣はイノベーションを妨げるものではない。イノベーションを成功させる原動力なのである。(20ページ) 

小学時代の刷り込み?

 

小学校の時、作文や絵を書く時、他人を真似てはいけません、あなたのオリジナルを追求しなさい、と言われた記憶がある。

日本人は昔から型に学ぶ、学ぶ事は真似る事、の重要性を知りながら、一方でオリジナル、あるいはイノベーションのみを称賛しすぎてきたのかもしれない。模倣とイノベーションを対立する概念として思い込んでいる。

模倣とイノベーションは相乗効果のある仕組みである、と再認識したい。そしてそれはビジネスだけに限定しておくのはもったいない。まずはオリジナルにこだわらず、お手本となる人を模倣したらいい。

蛇足

 

模倣だけでは常識の罠にはまる、

完璧なイノベーションを目指したら、達成できない。

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