我々は何を知っていて、何を知らないのか ? 「ベイズの推論」アプローチから~『シグナル&ノイズ』ネイト・シルバー氏
シルバー氏は統計のアナリスト、「私たちはシグナルを探そうとしてノイズを集めている」、情報の洪水のなかから真実(シグナル)を見つけ出す統計分析理論と予測技法2013年刊
株価が良いとき、人は株式に投資する。そこには感情で動く要素が大きく、
「自分の思考が不完全であることを考慮する」事が行われていない。
ベイスの推定と資本主義
自由市場資本主義とベイズの定理は、同じ知的伝統から生まれている。アダム・スミスとトーマス・ベイズは同時代に生きた人物で、2人ともスコットランドで教育を受け、哲学者デビッド・ヒュームの影響を強く受けている。
スミスの”見えざる手”はベイズ的なプロセスを表していると言ってもいいかもしれない。そこでは、価格は需要と供給の変化を受けて徐々に更新されて、最終的にはある地点で均衡する。
ベイズの根拠も”見えざる手”なのかもしれない。お互いの考えを議論しながら、合意に達しないときには賭けをしながら、徐々に考えを広めていく。どちらも群衆の知恵を利用して合意点を探すプロセスである。(366ページ)
本書結論より
「私たちが知っていること」ではなく、「知っていること」と「知っていると思っていること」との違いに重点を置いた。そしてその溝を埋めるための戦略を提案した。大きくジャンプし、その後小さなステップを重ねていくというものである。最初のジャンプが、ベイズ的に予測と確率を考えるということになる。(495ページ)
大きなジャンプとは思い切って推定してみる事
まずは推定してみる事、そしてそれを修正していく事であり、例えば
スタート→① 株式市場で利益をあげることができる人はいない。
②長期的に株式市場で、利益を上げる人はいない。
③長期的に株式市場で、リスクに見合う以上の利益を上げることができる人はいない。
④長期的に株式市場で、取引コストを考慮した上で、リスクに見合う以上の利益をあげることのできる人はいない。
⑤インサイダー情報なしに、長期的に株式市場で、取引コストを考慮した上で、リスクに見合う以上の利益をあげることができる人はいない。
⑥インサイダー情報なしに、長期的に株式市場で、取引コストを考慮した上で、リスクに見合う以上の利益を上げることができる人はほとんどいない。
到達点 →⑦長期的に株式市場で、利益をあげることができる人はどのくらいいるかは、はっきりとはわからない。データはノイズが多いからだあ。しかし、ほとんどの人がリスクに見合う以上の利益を上げられないことはわかっており、取引コストもかかるので、インサイダー情報でもない限り、インデックス・ファンドに投資した方がいいだろう。
著者の言いたい事
推定は世界のモデルであり、どんなに正確と思ってもズレがあるという事。「自分の思考が不完全であることを考慮する」事を知る事が大切だと言う。
蛇足
ジャンプ、トライ&エラー、という事
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