"Only is not lonley."から”弱い力を集める”まで~『インターネット的 』糸井重里氏
糸井氏は1998年以来、ほぼ日刊イトイ新聞を主宰、インターネット登場後の世界について考察したものだが、 読む者は、この十年間に起きた変化の本質を、 そしてこれからのことまでをも、十年前のこの本によって 知ることになるだろう。(2014)
ほぼ日刊イトイ新聞のスローガン「Only is not lonely.」
人間にとって孤独は前提なのです。「ひとりぼっち」は当たり前の人間の姿です。赤ん坊じゃないんだから、「何よりもあんたのために生きている」というような母親はいません。それでも、「ひとりぼっち」と「ひとりぼっち」がリンクすることはできるし、ときには共振し、ときには矛盾し、ときには協力しあうことはこれもまた当たり前のようにできます。(50ページ)
「オンリーワン」というには、とてもいい響きです。個性というのは、たったひとつということです。他に群れるべき仲間がいないということも考えられます。そういうものに、みんながなって、そのみんなが、くっつきあったりしているというイメージがかっこいいなぁと思いました。でも、オンリーワンである状態というのは、頼るもののないつらいものであることも確かです。かなりロンリーを感じるだろうな。たしかにロンリーだよなぁ。だけど、みんながそういうことを理解していて、みんながオンリーワンだったら、誰でもロンリーなんだから、それはロンリーであってロンリーじゃない。(51ページ)
続・インターネット的、弱い力を集めて得られる大きなイメージ
昔だったら、誰ひとりの強い思いや計画が、人を何人集められるかとか、お金をどれだけ集められるかというところが論点だったんだけれど、いまはそういう力任せの構造ではなくなっています。今大切なのは、なにか伝えたいことがあったときに、それが、ひとりひとりのこころにどれだけの面積を占められるかということ。賛同する人を1万人集めて1万票にするんじゃなくて、1億人のこころに1センチ四方だけ、場所をもらう。そのかけ算の方が求められているんじゃないかな。小さい気持ち、弱い力を集めて得られる大きなイメージ。それこそがほんとうの力を持つんじゃないでしょうか。思えば、それって、とても「インターネット的」なことです。(268ページ)
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インターネット的
糸井氏はほぼ日刊イトイ新聞を1998年に立ち上げる。本書は2001年に刊行した。糸井の考えるインターネット的を一言でいえば、「インターネットの両端で、人と人がちゃんとリンクしている。」(22ページ)となる。
それから約15年が過ぎた2014年文庫化された。2014年に加筆された続・インターネット的の章で、「弱い力を集めて得られる大きなイメージ」と表現している。誰の世界にでもオンリーワンはある。その大きさは人それぞれ。はかないオンリーワンであっても多くの共感を生む時大きな力になる。それにはインターネット、孤独な人と孤独な人がつながることができる、という感覚が役に立つ。糸井氏は1998年以来毎日実践してきた。
蛇足
ほぼ日は”ほぼ”ではなく、"毎日更新"されている。
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本書でもたびたび触れられている。