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2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

最初に現代的な簿記を付け始めたのは誰だったか?~『帳簿の世界史』ジェイコブ・ソール氏(2015)

帳簿の世界史

ソール氏は歴史学会計学の研究家、未来の資産価値を現在に置きかえる帳簿が生まれたとき、世界が変わった。(2015)

 
 
中世北イタリアはコンスタンティノーブルとの東方貿易で繁栄

 

 

12世紀には、フィレンツェ、ジョノヴァ、ヴェネチアといった商業都市国家を中心とする北イタリアが、ヨーロッパで最も豊かで最も人口が多くなっていった。・・・貿易で富を築いた商人貴族の支配する裕福な都市国家が、パッチワークのように入り組んで存在していた。この北イタリアこそ、共同出資会社、銀行、遠距離の貿易が発展し、それとともに資本主義的な利益や複式簿記が誕生した地でもある。(31ページ)

 

1300年頃複式簿記が発明

 

 

イタリアの商人は、仲間で資金を出し合って貿易を行う共同出資方式を採用しており、そのために各人の持分や利益を計算する必要があった。・・・誰が最初だったかはっきりしないが、トスカーナの商人たちが複式簿記を発展させたのは間違いない。資料を巡っていくらかの論議はあるものの、最も早い複式簿記の例は、リニエリ・フィニー兄弟照会の帳簿(1296年)か、ファロルフィ商会の帳簿(1299~1300)だとされている。(34ページ)

 

複式簿記とは何か?

 

複式簿記とは、簿記において、全ての簿記的取引を、その二面性に着眼して記録すること。取引の二面性というのは、簿記的取引には原因としての側面と結果としての側面があること、例えば建物の現金による購入という1つの取引においては、建物の増加(資産の増加)という側面と現金の減少(資産の減少)という2つの側面があることを意味する。(WIKI

なぜ中世イタリアで複式簿記が発明されたのか?

 

 

アラビア数字が使われていた。さらに、貿易が発展し、多くの資本が必要になって、共同出資方式が考案された。そこで帳簿は、単に所有しているものの記録ではなく、出資者への利益配分を計算するための記録となっていった。会計は収入と支出を集計するだけでなく、投資家に還元すべき利益余剰金の累計を計算するために活用されたのである。複式簿記なら、投資家の取り分を長期にわたって分割して払い出す場合にも、正確にお計算できる。出資金の払い出しは債務の返済と同様の扱いになり、数年にわたる分割払いでも、ある時点の未決済残高を示すことができる。(35ページ)

 

複式簿記のメリット

 

 

たとえば4年分の家賃として16リラを前払いした場合には、一年目の年度末に4リラだけを経費として処理し、残り12リラは次の期以降に繰りのべている。(35ページ)

 

現金の流れ、キャッシュ・フローにだけに着目すると16リラの現金支出しか記録されない。これが1年で終わる取引であれば問題ないが、複数年の時どうするか?12リラを次期以降に前払費用という資産として記録することが可能になる。投資家は複式簿記によりその時点での前払費用という資産を認識できる。

北イタリアで700年前に発明された複式簿記は長い中断を経て、オランダ、イギリス、そして米国に引き継がれていった。出資者は複式簿記が会社に幾らの資産があるかを明確にしてくれる。だからこそ出資者は安心して複数年にわたって待っていられるし、追加出資もできるのである。複式簿記の原点に遡るとき、本質が見えてくる。

蛇足

家計簿は複式簿記ではない。

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