どうして初デートはどきどきするか?~相手の心を読む双方向ゲームだから
ダンパー氏は認知・進化人類学の研究者、2011年刊行。
ダンパー数~ひとりひとりをきちんと認識できるのは150人前後の集団まで
人間以外の霊長類では、集団サイズと新皮質の大きさが比例することがわかった。となると最大級の新皮質を持つ人間は、どれほどの集団を形成するのだろう?サルや類人猿の例から推定すると、その数は約150となる。つまり一人の人間が関係を結べるのは150人までということで、これを謹んでダンパー数と名付けさせて貰う。(22ページ)
人間ならではの心、“相手の心を理解する”
人間が築きあげた文化は、進化が成しとげた最大の業績だろう。私達が文化を生み出せたのは、一つには省察する能力があるからだ。省察とは自分の心を省みることであり、他者の感情や信念にも考えをめぐらせることである。相手の心の内に思いをはせる・・・心理学的に言うと「心の理論を獲得」するということになる。・・・(子供は4,5歳以上になり心の理論ができると)他者のものの考えかた、感じかたを操作できるようになる。つまり効果的なうそがつけるようになるのだ。行動の裏にある意図をたくみに読み取るところなど、心理学者顔負けだ。(177ページ)
シェイクスピアのオセロの主要登場人物は4名
シェイクスピアが「オセロ」を書いている。主要な登場人物はオセロ(将軍)とイアーゴー(オセロの副官)、それに不運なディズモーナ(オセロの妻、オセロに不貞を疑われる)の3人。この話が悲劇になる為には、イアーゴーの策略がまんまと当たらなくてはならない。それにはディズモーナが誰かに恋をしているとオセロに思い込ませることだ。こうして三層の入れ子構造の心理が舞台上で展開する。さらに説得力を出す為にシェイクスピアはキャシオーなる人物を登場させ、ディズモーナの恋人に仕立てる。・・・シェイクスピアは観客に挑戦させる。観客に(4人の登場人物と観客自身の5人の心の動きである)5次志向意識水準まで了解させつつ、物語を信仰していかなければならない。それを見事にやってのけたからこそ、シェイクスピアは偉大な作家として歴史に名を残している。(197ページ)
Could Shakespeare Have Become A Relationship Coach?
初デートの時を思い出してみる
我々は自分の行動を含め複数の人間関係の背景とその動きを理解しようとする。それには膨大な情報処理が必要な事は良くわかる。我々が小説や演劇に共鳴するのも「相手の心を読む」のが難しい事を知っているから。わずか一人でも相手の心を本当に理解しようとしたら果てしないシミュレートが必要となる。初めての相手をデートに誘うとき食事の場所、話題、etc、膨大な予測を行って計画を組み立てたものだ。当然相手もこちらの出方をシュミレートしてくる。ダンパー数の意味は相手の心を読むレベルの人間関係を構築しその情報を収集しておくのは脳機能の限界から150名が上限と理解。
蛇足
初デートは計画どおりには行かない、だからワクワクする。