2015年F1に「究極のハイブリッドシステム」が導入~普通のハイブリッドと「F1の究極のハイブリッド」、何がどう違うか?
1988年、今から25年前の話 マクラーレン・MP4/4 (McLaren MP4/4) は、マクラーレンが1988年のF1世界選手権に投入したフォーミュラ1カー。英国のレーシングカーメーカーであるマクラーレンにホンダがエンジンを供給、16戦15勝という圧倒的な成果を出した。25年ぶりにマクラーレンホンダが復活する。
2015年からマクラーレンホンダが再結成~ホンダF1の総責任者、新井氏のコメント
今のF1のレギュレーションで言うと、昨年まで150kgのガソリンだったものが、100kgに制限される。なおかつ、似たようなラップタイムで走る。ということは、3分の2のガソリンでような同じレースができるわけです。 そこのキーテクロノジーがハイブリッドのシステムということで、そういう意味では究極のハイブリッドの技術を今、追求している。一滴のガソリンが持っているエネルギーをどれだけ効率良く、上手に使うか。技術者としては非常に夢のある世界ですよね。(2014年6月2日)
ホンダ 「新しいF1は技術者としては非常に夢のある世界」 【 F1-Gate.com 】
小沢コージ氏は自動車ジャーナリスト、本書はマクラーレンホンダの復活の応援本、以下はハイブリッドシステムに関する記述より。
F1のハイブリッドシステムとは?
マシンの減速エネルギーを発電機で取り出すMGU-K(motor―generator-unit-Kinetic)と排ガスの熱エネルギーを取り出すMGU-H(motor―generator-unit-Heat)があるが、特に後者に関してはほぼ規定が無いという。(85ページ)
大きくわけてエンジン排気量のダウンサイジングと直噴ターボ化、更に2種類のエネルギー回生システム装着が許されるわけでMGU-Kはいわゆる市販ハイブリッドカーに付いている様なブレーキを掛けると同時にエネルギー回生システムを行うもので、MGU-Hは今までにない排ガスの熱を電気エネルギーに変えるシステムだ。(115ページ)
市販車にも無いハイブリッドシステム 今までガソリンエンジンが捨てていた約7割の熱エネルギーを回生し、動力として使える。(127ページ)
タービンが吸入空気を圧縮すると同時に、その回転軸がMGU-Hにもつながっていて、そでせ発電する。それがMGU-Kを駆動する電気エネルギーとなる訳だ。(152ページ)
MGU-Hで生み出された電気エネルギーはバッテリーにも行くけれど直接MGU-Kで使ってしまうんだと思う、そちらの方がエネルギー効率がいいからね。(132ページ)
F1がやろうとしている事はエンジンが捨てていた熱エネルギー(ターボでは熱エネルギーの一部は活用)を電気エネルギーに変換し、これで直接タイヤの駆動力に付加させようとするもの。熱を電気に変える仕組みは熱エネルギー→回転エネルギー→電気エネルギーだが、その仕組みは未知数の部分=潜在的可能性が大きい。
エネルギー効率でみるとガソリン車で30% 、市販ハイブリッドカーの低速時が38%程度、F1も全開・急ブレーキが続くという省エネ運転の逆さまをやった上で40%に迫るものを目指すという。F1は市販自動車の先をいくトライをしようとしている。
蛇足
ガソリン使用制限が150Kgから100Kgへ、F1は現実が夢を追い越そうとしている。