氏より育ち? 遺伝と環境をめぐるエピジェネティクスという生命感~すべての女性に感謝を込めて!
エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)仲野氏はエピジェネティクス の研究家。「ゲノム中心の生命観を変える、生命科学の新しい概念「エピジェネティクス」。遺伝でもない、突然変異でもない。ゲノムに上書きされた情報が、目をみはる不思議な現象を引き起こす。」
エピジェネッティクスとは
エピジェネッティクスとな特性とは、DNAの延期配列の変化を伴わなずに、染色体における変化によって生じる、安定的に受け継がれる表現系である。(21ページ)
エピジェネティクスは、哺乳類にだけ存在する現象ではない。進化的に見ると、その分子的な基本メカニズムは、昆虫はおろか、単細胞生物である酵母やアカパンカビにも存在する、。このようにフヘンテキな生命現象としてのエピジェネティクスを理解する上でもっとも重要なことは、細胞が分裂しても引き継がれうる、DNAの塩基配列によらない情報が存在するという事実である。遺伝情報は、狭い意味では、ゲノムの塩基情報に書き込まれている。そして、学問分野としてのエピジェネティクスが注目するのは、そこにされに上書きされた情報なのである。(22ページ)
エピジェネッティクスを本に例える
ゲノム(遺伝子)を膨大なテキストからなる書物とするとエピジェネティクス(エピゲノム)はその書物について「ここを読みなさい」「ここを読んではいけません」と示す指示である。さらに、伏せ字になっているところがあって、物理的に読めなくなっている。ゲノムは不変だが、エピゲノムあるいはエピジェネティクスな状態は可変である。書かれているテキストの内容は変わらないが、付箋と伏せ字による指示に従って読むことにより、読み取られる情報が変わるという事なのだ。
(215ページ)
DNAはヒストンとメチル化によって変化
DNAはヒストンに巻き付けられている。ヒストンの化学変化によりDNAの特定部分を「読みなさい(活性)、ここは読まない(抑制)」か決定される。炭素と水素からなる基が結合する事メチル化した部分のDNAは読み込みができなくなる。(49ページ)
三毛猫~エピジェネティクスの例
哺乳類のメスは、X染色体の遺伝子発現からいうと2種類の細胞から構成されれいることである。言い換えると、父親に由来するX染色体が活性化されている細胞と、母親に由来するX染色体だけが活性化されている細胞との「モザイク」になっているということである。そして、そのX染色体の不活性化は、発生のかなり早い段階において、まったくランダムに生じるのである。X染色体の不活性化といえば三毛猫の出番だ。(174ページ)
猫の毛色 (その7) 三毛猫 (その2) | けむしろうの部屋別館 - 楽天ブログ母親由来の茶色の遺伝子を持つ細胞、父親由来の黒色の遺伝子を持つ細胞が混在
重要な事は受精後細胞分裂開始した段階でランダムにエピジェネティクスの過程経て選択が行われる事。ゲノム情報+エピジェネティクス情報により同一のDNAセットから違った毛の色が生じている。
エピジェネティクスの持つ意味
すべてはDNAによって決まっているという決定論的生命感は変更を求められているか?筆者は受精によりDNAが決定後にランダムと環境により読み込まれる情報がダイナミックに変わっている生命像、このダイナミックな変更は生殖細胞を通じ遺伝する傾向のある事、を踏まえ「生命感を変えるというのは大げさ、新たな生命像が描かれた」と整理する。
蛇足
女性は違った遺伝子を持つ2種類の細胞が混在、敬服致します。