輪ゴムはなぜ伸びるか~1本の輪ゴムから液体と固体の中間、ランダムコイルという概念をイメージする
ゴムはなぜ伸びる?―500年前、コロンブスが伝えた「新」素材の衝撃 (東京理科大学・坊っちゃん選書)伊藤氏は繊維とゴム材料の力学的特性に関する研究家。
日常生活において、ゴムは液体と固体の間の性質
天然ゴム(以下ゴム)の主成分はイソプレン(C8H8)、炭素原子5個と水素原子8個。
ゴムは細長いひもの形をした「高分子鎖」が何本も絡まっている。
天然ゴムの固体状態はガラス転移温度(-70℃)以下、完全な液体は融点(28℃)以上。
ガラス転移温度と融点の間では高分子鎖の存在により固体と液体の両方の性質を持つ弾力性のあるゲル状態。
ゴムの高分子鎖は大部分が分子の規則的配列を持たない非結晶部分で構成されており、ランダムコイルという曲がりくねった形状を持つ。
ゴムの高分子鎖は引っ張られると非結晶部分が結晶化し、外力がなくなると非結晶状態に戻ろうとする。(弾力性の発生)
15-19ページから抜粋、構成)
外力によってゴムが変形する事=高分子鎖が引っ張られる事
ゴムの高分子鎖に伸ばす外力が加わると、その部分が伸ばされて変形し、ランダムコイルの形が伸びる。力が除かれると伸ばされた部分はランダムコイル状態に縮む。(圧力が加わっても同様。)
ランダムコイル形状が複雑だと復元に時間がかかり、運動エネルギーの一部は熱エネルギーに変換される。(衝撃の吸収に優れるタイヤ)
ランダムコイル形状がシンプルだと短期間に復元し、運動エネルギーは効率よく反発力に運動エネルギーに保存されている。(反発力の良い輪ゴムやボール)
複数のランダムコイルが架橋(化学的に結合)させる事により複数のランダムコイルの集合はより複雑になる。架橋させる物質の一つが硫黄硫。
(24ページ)
ゴムはなぜ伸びる?
天然ゴムは日常生活ではランダムコイル形状でこれは固体と液体の中間。ランダムコイル形状の変化が弾性をもたらす。伸び縮みするスチールウールをイメージすればいい。スチールウールが複雑に絡み合っていると弾性が増す。
http://www.lomography.jp/magazine/tipster/2013/09/04/film-zerkratzen-jp
蛇足
輪ゴムは天然ゴム100、硫黄1-2を混合・加熱、ホース状に成形、輪切りにしたもの。