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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

革命は成功したか?~『新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき』Eバーグ×佐藤健志氏

 新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき

 佐藤氏は評論家、フランス革命は、以後のあらゆる革命の基本になった。だが、その真実は何だったのか?(原書は1790年、新訳は2011年)

 

金融勢力

フランスの債務が膨れ上がるにつれて、金融を基盤とする政治勢力が知らず知らずのうちに出来上がっていった。彼らは強大な権力を持つに至ったが、同国の古めかしい慣習のせいで、資産の流通、とりわけ土地を売却してカネにしたり、自分のカネを土地に替えたりといったことには困難がつきまとった。・・・成金たちのプライドも高まっていった。・・・金持ちにふさわしい地位と尊敬を得るためなら、どんなことでもしてやろうという気運が強まった。・・・カネは土地に比べて使い道が広い。このため金融勢力は冒険好きであり、いかなる計画であれ、とにかくやってみたがる。変化を望むなら、カネを活用するにしくはないのだ。(143ページ)

知識人

(知識人は)自分たちの組織をつくることで埋め合わせを図った。二つのアカデミー(学士院)の創立や、厖大な『百科全書』の編纂は、その代表的な例であろう。・・・知識人一派はかなり前から、キリスト教を否定するための大計画とも呼ぶべきものを作り上げ、これにカルト的な情熱を注ぎこんだ。まずは「誰であれ合理主義に改宗すべし」という信念に取り憑かれ、やがて「教会はあらゆる方法で攻撃すべし」という信念にも取り憑かれたのだ。(144ページ)

金融勢力と知識人の結託

成金と知識人こそ、革命後のさまざまな出来事に関して、主導権を握っている存在と見なせよう。教会所有の土地が執拗に略奪されたのも、法的、ないし政治的な原則に基づいてのことではなく、これら両勢力の思惑の一致に起因すると考えれば説明がつく。(146ページ)

教会の土地はどうなったか?

(教会から)没収した土地を競売にかけ、もっとも高い値段をつけた者に譲渡するよう決議した。だが注目すべきことに、その場で支払わねばならないのは代金の一部だけで、残りは向こう12年のうちに支払えばいいとくる。土地を買ったものは、いわば手付金を出したとたんに所有権を持てるのだ。革命派は、特定の人々に土地をタダ同然で与えようとしてるのではないだろうか。封建制度よろしく、新政府への忠誠心に対する見返りというわけである。

フランス革命省察~訳者、佐藤氏の解説より

フランス革命の基本理念とは)一言で要約するなら、それは「正しい目標をめざす限り、社会の変化は抜本的であればあるほど良い」と見なす考え方と規定しうる。・・・フランス革命が真に重要なのは、「自由・平等・博愛」を謳ったことや、人権宣言を採択したことにあるのではなく、急進主義に基づく史上初の大規模な革命だったことにあるのだ。(9ページ)

フランス革命の勃発した18世紀末は、世の中の変化するスピードが、産業革命によって一気に加速した時代であった。急進主義による抜本的な社会改革という発想も、このような背景を踏まえて生まれたのだが、以後も変化のスピードはどんどん速まっている。・・・ところが当の改革が(ほぼ確実に)挫折を運命づけられていることは、過去2百年間に行われた急進主義実践の試み、わけても20世紀における社会主義の試みが失敗に終わったことに示される通りなのだ。(20ページ)

保守主義の父、かく語りき

本書の原書は1790年、フランス革命が勃発したわずか1年3か月で執筆された。フランス革命が金融勢力と知識人との結託によって国王と貴族、そして教会からの富の収奪を行ったと解説する。エドマンド・バークアイルランドの政治家で、フランス革命は最終的に軍人による独裁に行き着くという結論を先取りしている。訳者の佐藤氏は本書を「急進主義的改革をめぐる風刺文学」と位置づけ、事実をよりリアルに写し取っていると言う。

当時の最大の富である土地をめぐる攻防は、新自由主義と言われる現在の政治手法に相通じる所がある。政治における急進的改革は多くの未意味な流血を招く。しかしビジネスの分野で急進的改革を行った場合、少なくとも流血はないであろう。急進的改革とは政治という富の配分をめぐる攻防ではなく、新たに富を創造するというビジネスにおいてこそ為されるべきことであると気づく。フランス革命に始まり、現代の共産革命まで政治的には急進的改革は混乱を生んだだけかもしれない。しかしビジネスの急進的改革により流血は生まれない。200年前の革命は色々なことを教えてくれる。

蛇足

配分より、創造

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