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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

フランス革命前と現代社会の社会構造に類似点はあるか?~『物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで 』安達正勝氏(2008)

物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)

安達氏フランス文学・歴史の研究家、 1789年、市民によるバスチーユ襲撃によって始まったフランス革命は、「自由と平等」という光り輝く理想を掲げ、近代市民社会の出発点となった。(2008) 

 

フランス革命とは近代化革命

フランス革命とは、現在われわれが住んでいる社会、近代市民社会、近代資本主義社会の出発点に位置する革命である。われわれの社会は「国民主権」とか「法の前の平等」とかいった原則に則って運営されているが、こうした現代社会の根本原則はフランス革命によって確立された。(5ページ)

絶対王政時代の身分制社会

国民は三つの身分にわけられ、第一身分が僧侶(聖職者)、第二身分が貴族、残りの一般庶民が第三身分(平民)だった。第三身分が人口の98%を占めていた。・・・そして、第三身分(その8割以上が農民)が重税にあえいでいたのに対し、僧侶と貴族には免税特権が付与されていた。(28ページ)

第一身分の僧侶階級は国土の10%、第二身分の貴族階級は25%を所有していた・・・(42ページ)

封建社会の軋み

フランス革命の直接的引き金になったのは国家財政の破綻だった。・・・問題は財政だけでなく、旧体制の社会的枠組み自体が時代に合わなくなっていた。事業を営む富裕市民たちにとっては、多くの土地が教会、修道院と貴族に握られ、国内関税によって商品の自由な流通が妨げられているのは極めて不都合だった。(啓蒙思想の)知識を蓄えた中産市民たちには、生まれによる身分差別によって社会的上昇が妨げられ、いつまでも貴族たちの尻に敷かれているのが我慢ならなかった。(41ページ)

フランス革命の遠景

フランス革命は、遅かれ早かれ、いつかは起こるべきものだった。思想的にも長い時間をかけて準備されていた。・・・その(啓蒙思想の)根本は、人間の理性と善意への揺るがぬ信念に支えられた批判の精神であって、当然、人間の自由を圧迫する絶対主義的な権威の否定へと向かう。(19ページ)

ブルジョワジー」と呼ばれた富裕市民が(資本主義の勃興により)経済的にも政治的にも力を蓄え、その社会的実力がそれまで世の中を支配してきた王と貴族の力を越えようとする過程の中で革命は起きた。(20ページ)

物語フランス革命

フランス革命とは「国は王家のもの」から「国は国民のもの」への転換である。1789年のルイ16世の時代から、ロベスピエールの時代を経て、1799年ナポレオンがクーデターにより革命を収束させる10年間かかる。この間に多くの流血と共に、社会の仕組みが一新することになる。

フランスの封建制社会と我々の住む世界はロジックがまったく違う。しかし社会構造に類似性を感じる。2%の特権階級が35%の土地を所有し、彼らは免税特権に守られている。今日富裕層1%とその他99%に格差が広がりつつあると言われる。富裕層はタックスプランニングによって実行税率をコントロールする。現在に生きる我々が封建社会をイメージするのが困難な様に、現代社会の階層構造もイメージするのが難しい。直観的に言えば、如何に税務を免れるか、という共通性を指摘したい。ある一定規模に到達した現代の富裕層はタックスプランニングをして税務負担を圧縮する方法を編み出す。税金の公平性を維持するのはいつの時代も簡単ではない。

蛇足

フランス革命は、貴族が免税特権の返上を拒否して始まった

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