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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

脳と人口知能、どこまで似ていて何が違うのか?~『 脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす』甘利俊一氏(2016)

コンピュータ 生物

 脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす (ブルーバックス)

 甘利氏は神経回路網の数理的な研究者、数学の理論で脳の仕組みを解き明かせれば、ロボットが心を持つことも可能になるのだろうか?(2016)

 

自己組織化と脳

(誕生して)できたての脳は、外界の情報や内部の情報を利用しながら、必要な配線があればこれをさらに補い、使わない結合は不要であるので消していく。いらないニューロンはどんどん死滅し、必要なものが残ってスリムな脳ができあがる。だから、遺伝情報がまったく同じ双生児でも、脳は一人一人違う。

自己組織化は脳が外界の情報構造に合わせて、いつも出てくる典型的な情報を適切に素早く処理する回路を内部に作り上げる助けをする。(35ページ)

ディープラーニング

脳は階層的なシステムであり、入力情報を分析して順次、高次の概念を抽出し、上の階層に伝えていく。・・・脳を模して、階層を何層にも積み上げた深い階層を持つパーセプトロンからは、浅い構造のものにはないよい性能が引き出せるはずである。これを使うのが深層学習(ディープラーニング)である。(180ページ)

ディープラーニングの斬新さ

その一つが「自己組織化」である。パーセプトロンは入力に応じて答えを出すシステムであるから、・・・ 自己組織化学習を行っておくアイデアが斬新であった。画像の学習では、いまや1000万枚にもおよぶ入力画像を用意する。自然画像はいろいろな特徴を含んでいるだろう。それらを(コンピュータの)神経回路(であるパーセプトロン)がいち早く抽出し、階層が上がるにつれてこれらを組み合わせながら。高次の特徴である概念のようなものを作り上げておけば、そのあとの教師あり学習(正解のある事例学習)が容易になる。

(もう一つ特徴が抽象化である。)入力層に10万個のニューロンがあれば、その上の中間層ではニューロンを1万個にしてしまう。そうなれば、ここに表現する情報は元のままというわけにはいかないから、無駄を省いて情報を圧縮する。このとき必要な特徴だけが抽出され、概念化したものが現れればよい。そこでまた次の層でニューロンの数を増やしたり、減らしたりする。(183ページ)

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ディープラーニング|分析力をコアとするデータソリューションカンパニー・株式会社ALBERT(アルベルト)

 

 

脳・心・人口知能

甘利氏は脳の数理的研究、具体的には数学的な思考により脳の秘密を明かすこと、を行ってきた。人口知能の開発において脳の研究の成果がフィードバックされていること知る。我々の脳は自己組織化によって最適化される。そして脳の情報処理では脳のある部門からある部門に情報が伝達される際に情報量を絞ることで高速処理が行われている。それは情報を圧縮、あるいは抽象化させることである。

最新のAI、ディープラーニングはこれらに限らず、多くのアイデアが脳の研究から採用されている。

著者は人間とロボットの違いは寿命を持つ人間と、寿命のないロボットの違いだという。人間には“1回限りの人生をいとおしみながら終えていく“ことができる。

甘利氏は50年に渡って研究の中心にいた。本書では過去の脳とAIの研究開発の歴史を振り返るりつつ、人口知能と人間の境界線を教えてくれる。

蛇足

次にはコンピュータ―は脳の記憶のメカニズムを取り込もうとしている。

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