毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

「ディープラーニング」という言葉 を知っていますか ? 最先端人口知能と脳科学の融合から何を学ぶか?~『AIの衝撃 人口知能は人類の敵か』 小林 雅一 氏(2015)

 

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

 小林氏は人口知能などのアナリスト、 脳科学とコンピュータの融合が私たちの常識を覆す!「自ら学んで成長する能力」を身につけた次世代ロボットは、人間社会をどのように変えるのか?f:id:kocho-3:20150327075852p:plain

AIが能力向上は機械学習の影響が大きいという。機械学習とは、人工知能における研究課題の一つで、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術・手法のこと。(Wiki)

 

ディープラーニングの「強化学習」

  

これはコンピュータ、つまりそこに搭載されたAIプログラム(ソフト)に対し、非常に限定的なフィードバック(反応)を返すことによって、この世界について何かを学ばせる技術です。・・・このAIプログラム(ニューラルネット)に何かの仕事をさせ、それが上手くできたら、「よくできたね!」と私たち人間が褒めてあげる。逆に失敗したら「駄目じゃないか!」と叱る。たったこれだけのことで、このAIプログラムは自分のやり方のどこが良くて、どこが悪かったかを自分で発見して、どんどん上達していく。(36ページ)

 

この ディープラーニングの強化学習は人間の最先端の脳機能の研究の成果が行かされているという。

 
人間の脳はどうやって画像を認識しているか?

 私たち人間や動物の目が捉えた外界の映像は、ちょうどコンピュータ画面を構成する無数のピクセル情報のようなものです。脳の視覚野は

  1. ピクセルから幾つかの特徴ベクトル(物体の輪郭を構成する腺)を自動的に抽出。
  2. このベクトルをいくつか組み合わせて、「目」や「耳」のようなパーツ(部品)を描き出す。
  3. 今度はこれらのパーツを組み合わせて「猫」や「人」の顔などの最終的な対象物を描き出している。

 

要するに脳の視野野は、そのように段階的に対象物を認識しているということです。・・・目が捉えた外界の映像から脳が最初に抽出する特徴ベクトルの一個一個は、実はその時点で活動している脳の神経細胞(ニューロン)の1個1個に対応しています。その数は、大脳皮質を構成する100億個(脳全体では1000億個)とも言われる神経細胞のわずか数パーセントに過ぎません。・・・・脳は視覚情報を処理する際、同時に活動する神経細胞の数をなるべく少なく抑えて、疲労を最小限にとどめる。(112ページ)

 

 

脳機能とAIのプログラム

ディープラーニングとは深層学習と訳されるが、これは脳機能を模して、多層的で段々に情報が伝達さて、それに対する学習の理解が深まっていく様にプログラムが設計されている。具体的には1層の入力と出力を2層に渡す際に、1層に対し結果をフィードバックする。先生が1層の結果を採点し、良かったら褒め、悪かったら叱る、といったイメージである。このプログラムによりコンピュータは高速に自ら学習していく能力を持ったという。

これから何を解釈するか?

私自身、スマホ音声認識やwebの自動翻訳などがどんどん能力を上げているのに日々驚かされる。単にコンピュータの処理速度が向上したのではなく、脳科学の研究によりプログラム自体が「多層構造+学習機能付」へとバーションアップしていたのだ。本書ではAIが「自ら学んで成長する能力」を使って人間の知性を越える日がやってくる可能性が高まったと説明する。

もう一つ視点で言うと、我々自身がこのコンピュータ・プログラムの成果を応用出来ないか?

大きな目標を立て、それを幾つかのプロセスに分け、プロセス毎に評価プロセスを入れる。上手くできたらお祝いをするという「ディープラーニング」である。

使い物にならないと言われたAIでさえ、ここまで能力を向上させたのである、優秀な人間の脳にそれが出来ない訳がない。

蛇足

 我々はもっと早く学習できる。

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