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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ヨーロッパが作り上げた近代世界経済システム~『ヨーロッパ覇権史』玉木俊明氏(2015)

ヨーロッパ覇権史 (ちくま新書)

玉木氏は近代ヨーロッパ経済史の研究家、現在の世界は、どのように形成されたのか。そして、どこに向かっているのか。(2015)

 

 ヨーロッパと戦争

ヨーロッパの近代は戦争とともにできあがった。そして、ヨーロッパが世界を征服することで、世界はヨーロッパ化した。したがって、現代社会は、「戦争を前提とした社会」といえるのである。我々は、現在もなおそのような世界に生きているのだ。それを具体化したのが永世中立国の存在である。永久に中立とは、永久に戦争があることを前提としている。(38ページ)

ヨーロッパが作ったのは近代世界システム

(19世紀ヨーロッパの対外的拡張の)時代にヘゲモニーを握ったのはイギリスであり、同国は、イギリスで生産された商品を、イギリス船で輸出し、その商品にはイギリスの会社を使って保険をかけた。世界中に電信網をめぐらせ、その使用料収入で儲けた。イギリスは、経済のゲームのルールを決定した。(203ページ)

近代世界システムの行き詰まり

近代世界システムは、現在では世界全体を覆うようになった。近代世界システムにおけるグローバリゼーションは、ほぼ完了したといえるだろう。社会主義経済が1991年に崩壊すると、ソ連も東欧諸国も、完全に近代世界システムに包摂されたが、それは拡大を基調とするこのシステムの終焉を意味した。(183ページ)

ポスト・近代世界システム

新しいシステムの創出にかかる期間としては、1世紀でも短期であるということである。そもそも近代世界システムの誕生から死まで、5~6世紀もかかったのだ。・・・ポスト・近代世界システムの世界がどうなるのかは誰にもわからないだけなく、より良いシステムの形成のために何をなすべきかということも、本当は誰にもわからない(201ページ)

ヨーロッパとアジア、どちらが発展しているのか?

19世紀のヨーロッパでは、産業革命のため、経済が急速に発展していった。その犠牲となったのはアジアやアフリカであり、彼らは農作物や鉱物という第一次産品をヨーロッパに輸出し、ヨーロッパの工業製品の市場となった。そのため、これらの地で工業を発展させることは困難であった。このような時代だけを取り上げてみるならば、「アジアが停滞的であるのに対し、ヨーロッパは発展している」という図式も理解できよう。・・・もし現在の世界だけをみれば、「アジアは絶えず成長しているのに対し、ヨーロッパは何も変わっていない停滞した社会だ」というレッテルを貼ることだってできるだろう。(23ページ)

ヨーロッパ覇権史

現代の社会はヨーロッパが作ってきたルールに従って動いている。ソ連など旧共産圏、中国、イスラム諸国なども経済においてはヨーロッパのルールを受け入れている。一言で言えば持続的経済成長の為に、ナショナリズムを基盤とした国家がその下部システムとして機能する。そのために軍事=戦争、徴税システム、中央銀行、などが利用、整備された。

この様に考えてみると中国の経済政策、例えばアジアインフラ銀行(AIIB)もヨーロッパの作った近代世界システムの文法にそったものである。仮に今、アジアはヨーロッパより成長している様に見えたとしても、それは近代世界システムに則ったものである。一方でヨーロッパがEUを作ったとことは近代世界システムの更新を狙った故の行動だと位置づけることもできよう。世界は既にポスト・近代世界システムを模索する時代に突入している。

蛇足

日本もまた、未だ近代世界システムの真ん中

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