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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

マイナス金利政策には限界がある~『中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来』岩村充氏(2016)

中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来 (新潮選書)

岩村氏は日銀出身の通貨論の研究者、日本銀行の金融政策はなぜ効かないのか。(2016)

金融政策は高成長が前提

金融政策の本質は現在と未来を交換することです。豊かな未来が展望できているときは金融政策の力も大きくなります。しかし。展望できる未来がそれほど豊かではなくなれば、今は経済政策の主役のような顔をしている金融政策も、徐々に退場へのシナリオに入らざるを得ないでしょう。・・・中央銀行が独占的に貨幣の発行者であることは金融政策の有効性を確保するためには必須に近いものですが、その金融政策が機能しない、・・・中央銀行が独占的に貨幣を発行することへの合意も崩れ去るでしょう。金融政策とは、19世紀に入ってからの世界が幸運にも成長の時代に入ったことの余得のいようなものとして始まったに過ぎないからです。(217ページ)

流動性のわな

中央銀行が貨幣供給を増やして金利をどんどん引き下げていくと、もうそれ以上は金利を引き下げることができない、そこで金融緩和の効果は打ち止めになるというものでした。

マイナス金利には限界

中央銀行にせよ市中銀行にせよ、彼らがその預り金にどの程度のマイナス金利を付すことができるかを考えてみよう。それを解く鍵になるのは、彼らの相手方にとっては、現金つまり銀行券をしまいこんでおくという選択肢残されているのである。したがって、そうした現金補完にかかる費用を超えてマイナスの金利を預金者から徴収することはできない。これが金利ゼロの金融資産である銀行券の存在をそのままに、銀行がその預り金にマイナス金利を課そうとするときの限界である。(298ページ)

金利マイナスとなる通貨

貨幣にマイナスの金利が付くことは、金融政策を「流動性のわな」の制約から解放することを意味します。・・・もし銀行券にマイナスの金利を付すことができたら話はまったく変わってきます。金融政策には上方にも下方にも限界を画されることがなくなり、経済に大きなデフレ圧力が生じたときでき、ずっと強力に事態に対応できるようになるはずです。(219ページ)

中央銀行が終わる日

イングランド銀行通貨発行権を独占したのが1844年。著者によれば中央銀行は経済成長と共に生まれてきた。流動性のわなに陥った場合金融政策は無力である。その背景は世界的に潜在的経済成長率が低下したからである。

今まで通貨は金利ゼロと考えてきた。1年たっても2年たっても1万円札は1万円である。一方金利マイナスとは1年後にはすべての1万円の価値が例えば9000円に減ることを意味する。差額の1000円が金利であり中央銀行がそれを受け取ることになる。(現在のマイナス金利中央銀行に新たに預けられた預金に対しマイナス金利が付与されている。)

ビッドコインに代表されるような電子技術は紙幣にマイナス金利を付与する技術的機能を既に持ち得ているという。

著者によれば景気対策としての金融政策にはその効力を失いつつあるという。それは中央銀行が金融政策を担う中央銀行の役割を終えることを意味する。

蛇足

中央銀行が成長を加速したのか、成長するから中央銀行が機能したのか?

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