毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

時間と距離、身体の限界から自由になったとき、何をしたいですか?~『スーパーヒューマン誕生! ―人間はSFを超える 』稲見昌彦氏(2016)

スーパーヒューマン誕生! ―人間はSFを超える (NHK出版新書)

 稲見氏は人間拡張工学、エンタテイメント工学の研究家、人間拡張する身体、サイボーグ化する人間、分身ロボット……未来は希望か、絶望か。人間の身体観が更新するとき、はじめて情報化社会は完成するだろう。

 

人間拡張工学

機器や情報システムを用いて、人間がもともも持っている運動能力や感覚を拡張することで工学的にスーパーマンをつくりだすことだ。

人間拡張工学とは、身体の内側と外側の両方に制御可能な領域を広げていく学問であると言い換えることができる。(102ページ)

それでは身体とは

身体は脳と世界をシンク(同期)するためのインターフェースである、というのが現在の私の身体観だ。私たちは、自分の頭の中に現実感(リアリティ)という現実世界(リアル)のモデルをつくっている。そのモデルの精度を上げ、更新するために、私たちの身体というインターフェースが存在しているのではないだろうか。(107ページ)

人間はまわりの環境と、ヒト型に備わった五感と運動というある種のフィルターを通してインタラクション(相互作用)している(183ページ)

私たちは生まれてから現在に至るまでヒト型の身体を操ることに慣れているのだ。(190ページ)

身体という外界とのインタラクションを行う入出力機構(インターフェース)が変化すれば、・・・心も大きな影響を受ける。(213ページ)

人間拡張工学によってスーパーマン誕生

拡張身体から人機一体、自動化と自在化、脱身体から分身、変身、融身体・合体へと至る人間の計り知れない進化の姿を指している。情報技術、バーチャル・リアリティ技術、機械技術、ネットワーク技術、すべてのテクノロジーが合わさるとき、人間は道具をつくるだけでなく、自らの身体性を自らの手でつくりかえることができる存在、つまりスーパーヒューマンへと姿を変えるのだ。(230ページ)

その時社会は

「身体の物理的制約が取り払われたとき、場所による価値の差はなくなる」(225ページ)

そこでは時間、距離などの物理的制約、更には運動・認知能力などの身体的制約から解放される社会が実現されるという。テクノロジーが人間の身体を拡張することで、物理的制約・身体的制約から離れ、実世界をまるでバーチャルな世界の様に自由に移動し、認識し、影響を与えることができるようになる。我々はどこまでを自分の身体だと認識するのであろうか?

蛇足

身体の制約がなくなったとき、スポーツは何を競うのであろうか?

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