毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

情報とは物理的存在である~『宇宙を復号する―量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号』チャールズ・サイフェ氏(2007)

宇宙を復号する―量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号

サイフェ氏はサイエンスライター、宇宙は情報でできている。(2007)

 

 

情報理論

 

情報理論がこれほど強力なのは、情報が物理的なものだからだ。情報はただの抽象的な概念ではなく、ただの事実や数字、日付や名前ではない。物質とエネルギーに備わる、数量化でき測定できる具体的な性質なのだ。鉛のかたまりの重さや核弾頭に貯蔵されたエネルギーにおとらず実在するものであり、質量やエネルギーと同じく、情報は一組の物理情報によって、どう振る舞いうるか―どう操作、移転、複製、消去、破壊できるか―を規定されている。宇宙にある何もかもが情報の法則にしたがわなければならない。宇宙にある何もかもが、それと含まれる情報によって形ずくられるからだ。(6ページ)

ハッブルバブル

宇宙の年齢はおよそ137億年でしかなく、光が宇宙の隅々を自由に進むようになったのはビックバンから40万年近くあとのことだ。…それ(その光)は、目に見える宇宙のはずれだ。その向こうにあるものは見えない。情報は光の速さでしか伝わらないのだから、地球のまわりに半径数百億光年の目に見えない巨大な(しかし有限の)球を描けば、光が自由に進むようになった瞬間からこれまでに私たちに情報を送ることができた宇宙が、まるまるそこに収まる。…宇宙の中で、ビックバンから40万年あとのその時期からこれまでに私たちと情報をやりとりしたことがありうる要素は、巨大だが有限の球におさまる。この球を簡単にハッブルバブルと呼ぼう。(309ページ)

宇宙はコンピュータ

私たちの宇宙は絶えず沸き返っている。情報が行き来し、環境は(意識をもっているものも、そうでないものも)これを処理し、散逸させる。ある意味で宇宙全体が巨大な情報処理装置―コンピュータ―のように振る舞っているのだ。(327ページ)

宇宙は平衡状態へ向かう

宇宙にある生命は有限でなければならない。宇宙が膨張し、進化するにつれて、そのエントロピーは増す。星は燃え尽きて死に、エネルギーは見つけにくくなっていく。銀河は冷え、極寒の平衡状態に近づいていく。平衡に近づいていく宇宙では、エネルギーを見つけ、エントロピーを捨てるのは難しい。情報を保存、複製するのはむずかしくなっていくのだ。(326ページ)

情報とは何か?

 

情報とは物理的な存在である。情報というと物理的な制約を離れ、情報が抽象概念として存在できるイメージを持っていた。

本書で著者は情報=物理的存在、あるいはエネルギー的なのだと言い切る。物理的な存在なのであれば有限である。我々は光の範囲の宇宙、ハッブルバブルの中にいる。そもそもハッブルバブル自体が有限なのだから、その中の情報もまた有限であり情報は周囲の影響を受け、周囲と何らかの違っていることを物理的存在として保存している。まるでコンピュータのハードディスクに保存されるように物質的存在として保存されているのである。

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「ハッブル・バブル」vs「ダークエネルギー」 - 宇宙の加速度的な膨張速度をどう説明するか : 海外からの最新科学ニュース

宇宙とは何か?

 

物質によって情報が保存された空間である。あるいは光によって情報の因果律が成立している空間を宇宙という。そこでは宇宙がコンピュータの様に計算している。

蛇足

 

エネルギー保存の原則と同様、情報は宇宙の中で保存される

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