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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

それでも我々は常識を打破して非常識に変える力を持っている~『物質から生命へ―自然発生説論争』ヘンリー・ハリス氏(2003年)

生物

物質から生命へ―自然発生説論争

ヘンリー・ハリス氏はサイエンスライター、「生命は物質からひとりでに生じてくる」という説は、アリストテレス以来、多くの科学者、哲学者、歴史家を魅了してきた。(2003年)

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自然発生説

 

 

自然発生説というのは、適切な条件下では生命のない物質から、まったく自然な過程を経て生物が出現しうるという説のことで、これは以上(コペルニクスの地動説、ハーヴェイの血液循環説、ニュートンの白色混合説、ダーウィンの進化論)のような論議よりもさらに、対人させるのが難しいことが証明された考えの一つである。自然発生説の起源は歴史以前にさかのぼり、ギリシャ・ローマ時代にも懐疑論者はいたが、17世紀まで実験的な検証がなられないままであった。その後20世紀初頭まで、時には激しい論争の対象となってきた。(8ページ)

 

1668年昆虫の発生に関する実験(フランチェスコ・レディ伊1628-98)

 

 

自然発生説はそれまでに徐々に適用範囲が狭まり、・・・動物のうちでも昆虫は、当時知られていた自然界の中で、適切な条件さえ整えば上の干渉なしに無生物から生じると信じられてきた最後の砦だった。レディの実験はその砦を瓦礫に変え、自然発生説から実験的な支えを完全に除き去った。(30ページ)

 

 

レディは栄養となる有機物(ウシの肉など)をフラスコに入れ、一つはフラスコを密閉し、一つはフラスコの口を開放し、ハエの発生の多い夏に対象実験を行なった。その結果密閉したフラスコからウジ、ハエが発生しない事を証明した。

 

1860年白鳥の顎フラスコ実験(ルイ・パストゥール1822-95)

 

 

パストゥールは、空気で運ばれる微生物を捉えるための小憩室や膨大無をもったいろいろな形の顎の長いフラスコを考案している。・・・(白鳥の顎フラスコ)のフラスコを工夫した理由は、たとえフラスコの口が開いていても湾曲部やそのほかの変形部分で空気中の粒子を沈殿させられれば、内容物が腐敗しないことを示すためであった。白鳥の顎フラスコに入れて煮沸した有機体溶液は、口が外界に開いているが、フラスコをゆすったりしない限りいつまでも腐敗せず、微生物が生じなかった。(170ページ)

 

自然発生説は20世紀になっても主張する科学者が存在した。

 

 

(20世紀になっても)自然発生説を支持して実験的な証拠を提出をした人の誰一人として自分の信じることを変えなかった(以下略)。

 

 

物理学者の長老の一人、マックス・プランクは「新しい科学的な真実は、一般に反対者が徐々に信じるようになり改宗した宣言するから支配的になるのではなく、反対者が死んで、次の世代が初めてからその真実になれ親しんでいることで普及する」と言った。この結論が結局正しかった。(224ページ)

 

我々は常識を変えられるか?

 

我々は自然発生説を否定するのが常識である。生命の存在しない物質から生命が誕生する事を信じていない。しかしこの説を否定するのは今でも極めて困難である。地球進化の歴史で1回は非生命から生命が誕生している。1回目と同条件ではもう一度発生する事になる。レディとパストゥールの間には200年に開きがあり、これが完全に否定されたのは何と20世紀まで待たなければならなかった。我々が反自然発生説を受容するのは社会の常識になっているからだけかもしれない。だからこそ常識をひっくり返した人々の着想・行動には多大な価値がある。

蛇足

 

あなたはどうやって反自然発生説を説明しますか?

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