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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

生命の誕生の謎、これに匹敵する生物の大型化、複雑化の謎、~ミトコンドリアによるエネルギー革命

生物

ミトコンドリア(WIKI)

真核生物の細胞小器官である。二重の生体膜からなり、独自のDNA(ミトコンドリアDNA=mtDNA)を持ち、分裂、増殖する。mtDNAはATP合成以外の生命現象にも関与する。酸素呼吸の場として知られている。

 

ミトコンドリアが進化を決めたニック・レーン氏は臓器の代謝の研究を契機に本書を書く。「多細胞化や、複雑な形態など生物の際立った特徴が、内部共生体ミトコンドリアとその宿主である細胞の、ほかに類例のない進化戦略の結果として生じてきた」 

細菌から真核細胞にどうやって変化したか?宿主細胞+ミトコンドリアの融合

地球上の真核多細胞生物ー核をもつ細胞ーでできている。この複雑な細胞の進化は謎に包まれており、全生命史を通じて最高にありそうもない出来事のひとつだったようだ。決定的な瞬間は核の形成ではなく、むしろ2個の細胞の融合である。このとき、1個の細胞が別の細胞を物理的に飲み込み、ミトコンドリアを収めたキメラ細胞ができた。だが細胞が別の細胞を飲み込む事自体は珍しくない。真核細胞を生み出す融合は、どう特別だから一度限りの出来事だったのだろうか?(27ページ)

真核生物が徹底的に嫌気(酸素を嫌う)な生活様式を持ちながら酸素濃度上昇期に進化

酸素がない環境でしか成立しない化学的な(宿主細胞とミトコンドリアの)依存関係を脱して、好気条件で繁殖する酸素依存性細胞として真核細胞が繁栄する事にどうやって移行するか?酸素濃度の上昇というと新鮮な空気を連想しがちだが、現実は何とも直感に反している。火山から出る硫黄が酸素と反応すると、酸化して硫黄塩ができる。これは今日の酸性雨と同じ状況を意味する。酸素呼吸に必要なすべての遺伝子が初期の真核細胞に(ミトコンドリアの遺伝子を取り込む形で)残っていなければいけない。(87-88ページを再構成)

細胞の融合=遺伝子の移動

腹を空かせた嫌気性細胞(酸素を嫌う)が、たまたま小さな好気性細菌を飲み込み、両者はそのまま良好な寄生関係を進めていく。大気中の酸素濃度の上昇により、その宿主と寄生体の双方に恩恵をもたらす。寄生体が嫌気性細胞の排出した二酸化酸素と水素を貪る一方、宿主は寄生体内臓の「触媒コンバーター」によって毒性酸素から守られるのである。その後宿主は寄生体の膜から直接エネルギーを横取りする様になる。

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真核生物は大型化、複雑化をなし遂げる

細菌は20億年にわたって地球を完全に支配した。彼らは生化学的な多芸さを果てしなく進化させたが、大型化したり形態を複雑にしたりする為の秘訣は見いだせなかった。地球ではエネルギー生成がミトコンドリアの内部でなされて初めて、大型化・複雑性が可能となった。(147ページ)

ミトコンドリアは細胞の中でわずかな遺伝子を持って独立して存在し、核とタンパク質の合成を共同して行う事でエネルギーの制御が細かくできる、と説明、そしてこれが生物の大型化、有性生殖、温血革命などにつながり「真核生物はいわば戦艦になったー多くのDNAと遺伝子を搭載し、エネルギーを必要なだけため込んだ。」(450ページ)。

真核生命の進化を自動車に例える。

細菌はもともと細菌は発酵で代表されるマイルドな反応が中心。酸素を好む変わった細菌エンジンの燃焼の様にエネルギーの取り出しが容易。このエンジンを体内に取り込んだ所からエンジンの排気量を大きくする事で生物の大型化が始まった。いわばミトコンドリアは生命のエネルギー革命。

 

蛇足

酸素は細胞の老化の原因