毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

石狩川の三日月湖と米作、共通解は泥炭層~100年前の100㎞の奇跡

石狩川

長さは268㎞、信濃川利根川について3位、今から100年前の治水が行われる以前は364㎞と今の信濃川並の長さ、ショートカットにより100㎞短縮。

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ガイダンス - 実施報告 龍と亀 日本の治水術と中国の治水史:里川文化塾│ミツカン 水の文化センター 

 

土地の文明 地形とデータで日本の都市の謎を解く  竹村氏は国土交通省の官僚出身。

石狩平野の泥炭層は6000年分

6000年前の縄文時代、海面は今より5メートル高く、札幌、江別、岩見沢の石狩地方はもちろん美唄、砂川、滝川の空知地方の奥まで内湾であった。その後寒冷化とともに海水面は低下し海が後退した内湾は石狩川の土砂によって沖積平野へと姿を変えた。日本内地の沖積平野は有機肥料を含み稲作に適した土地であった。しかし寒冷地の北海道では堆積した植物の分解が進まなかった。土は植物が炭化した状態のまま蓄積されていった。それが泥炭層である。6000年間に蓄積した泥炭層の深さは20メートルを超えていた。

石狩川の洪水

明治31年(1898年)未曾有の大洪水が石狩平野を襲った。過酷な大地と戦った多くの仲間の命、そしてやっと開発したばかりの田畑が濁流に飲み込まれた。さすがに中央政府も、石狩側の治水に乗り出さざるを得なかった。数年後に勃発する前に北海道の重要性が浮上したこともあった。石狩側の治水と開発は国家的課題として認識された。(土木技術者は)徹底的な石狩川のショートカット、すなわち捷水路計画を策定した。流れにくい蛇行部をショートカットして直線にする。このショートカットは内地でも実施されている一般的な手法である。

石狩川のショートカットの狙い

蛇行部を直線にすると流れは一気に速くなり、洪水は短時間で流れ去ってくれる。内地の河川のショートカット効果はそれまでである。ところが石狩川では違う。石狩川の川床は柔らかい泥炭層である。流れが速くなると川底の泥炭は削られていく。川底が削られると石狩川の水位は下がる。水位が低下すれば泥炭層の地下水は石狩川に吸い出されて低下していく。その狙いは見事にあたった。直線化で石狩川の流れは速くなり、川底は水流で削られて低下していった。川底が下がると、泥炭層の地下水は次々と川に吸い出され低下していった。(中略)この執念のショートカットが進むにつれ、悪夢の泥炭地が希望の大地に生まれ変わっていった。

蛇足

北海道は今や全国第2位の米産地。