毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

どうして地球は磁石として働くか?~自分の頭で理解しているか?

 鉄学 137億年の宇宙誌 (岩波科学ライブラリー)本書は2009年東大総合研究博物館特別展示「鉄ー137億円の宇宙誌」が契機。

地磁気~ ダイナモ理論

地球表面に暮らす生物たちを宇宙線から守るバリアであり、極域の夜空に美しいオーロラを作り出し、渡り鳥たちに方向を指し示す存在である地球磁場。その正体は地面のずっと奥深くにある。地下2900キロメートルより深い所に存在する溶けた金属鉄(外核)が磁場を作り出している。

溶けた鉄の流体が磁場の中を運動すると、起電力(電圧)が発生して、電流が流れる。その電流は新たに磁場をつくり、その磁場がもともとあった磁場を強めると、それによってもともとあった磁場がさらに強められることになる。

f:id:kocho-3:20140129071451p:plain

地球 - Wikipedia地球の中心は「固体」

 

 

地球内部で溶けた鉄の運動(外核)

地球内部での溶けた鉄の運動を生み出すのは、自転しちていることによるコリオリ力や半径方向に働く重力や浮力である。これらの力によって外角のなかでは地球の自転方向への流れや半径方向への対流が生じる。回転方向への流れによって生じる磁場はトロイダル磁場と呼ばれ、(中略)成因として重要なのは外核の対流であるが、対流の原因のひとつは、コアーマントル境界で冷却されて重くなった成分が重力で沈降することで駆動される熱対流である。もうひとつの原因は、外核のさらに奥深くに固体金属鉄の内核が存在することが関係する。

成長する固体鉄合金の内核

地球深部では、深くなるにつれて温度が上がる以上に、融点が上昇し、深いほど鉄が溶けなくなるのである。地球は誕生以来、冷却し続けている熱機関であるが、冷却にともなって、内核は成長している。内核が成長する際、外核の中に含まれる鉄やニッケル以外の軽元素(炭素や酸素、窒素、水素、硫黄、ケイ素など)は固体核に含まれず外核にはきだされる。軽元素は周辺より軽いため、上昇し、これが外核での対流を引き起こす。また内核が固化する際に放出される潜熱も熱対流を引き起こす原因となりうる。

ダイナモ理論が支持されるのは1950年以降(WIKI)

1940年以降にエルサッサーが地球の流体外核の中で誘導されている電流によって地磁気が作られているのだ、と提案しダイナモ理論の基礎となった。1950年代になりブラートらが現在のダイナモ理論の構築を行い、現在地磁気の起源は磁気流体ダイナモであることが確立されている。

我々は地球が磁石の働きをしている事は知っている。それではなぜ磁石として働くか?私はダイナモ理論を認識した。この理論を人類が解明できたのはわずか50年前、歴史の尺度から考えれば昨日の事と言っていい。

蛇足

「どろどろに」溶けた外核と「カチンカチンに」固まった内核、そして内核の成長によって、地球内部の情報エントロピーは低下。このイメージが大切。