毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

「巧言葉令色少なし仁」は逆さまである~『悪人正機 』糸井重里氏×吉本隆明氏(2004)

悪人正機 (新潮文庫)

糸井重里が、吉本隆明から引き出すコトバの数々。驚きに充ちた逆説的人生論.

(2004)

 

 

悪人正機

悪人正機(あくにんしょうき)は、浄土真宗の教義の中で重要な意味を持つ思想で、「“悪人”こそが阿弥陀仏の本願(他力本願)による救済の主正の根機である」という意味である。

阿弥陀仏が救済したい対象は、衆生である。すべての衆生は、末法濁世を生きる煩悩具足の凡夫たる「悪人」である。よって自分は「悪人」であると目覚させられた者こそ、阿弥陀仏の救済の対象であることを知りえるという意である。(Wiki

糸井氏のまえがき

この本は、(吉本氏への)人生相談のかたちを借りているくせに、あらゆる「うその考え」をまる裸にする社会とか、人間とかいうものの「解体新書」みたいなものとしてできあがってしまった。(4ページ)

仕事とは

人間って何だというと、要するに子供がいちばんの基準だと思いますね。子供って、一日24時間、全部遊びじゃないですか。生活イコール遊びなんですよ。あれが理想でね、・・・つまり、働くってことは、あんまりいいことじゃないってことえお言いたいわけです。(66ページ)

理想の会社とは建物である

僕が会社勤めやなんかで体得したことでは、会社において、上司のことより重要なのは建物なんだってことです。明るくて、気持ちのいい建物が、少し歩けばコーヒーを飲めるとか盛り場に出られるような場所にあるっていう・・・・そっちのほうが重要なんだってことなんです。…なんでみんな大企業に入ろうとするかっていったら、僕は建物だと思う。女性の事務員がたくさんいるとかってこともあるんでしょうけれど、そういうことも含めて、いい建物の中では雰囲気がゆったりしているんですよ。それで上司がまずます自由にやらしてくれる人なら、もう文句なしって感じですね。(87ページ)

資本主義とは

全部借金でもいいから、できる限りお金をかき集めて、何か事業しちゃって、金儲けしちゃってさ。借金を返す返さないなんてのは二の次三の次、どうでもいいんだっていうのが、資本主義の非常に大きな特徴なんだって。(303ページ)

一所懸命と清貧

 

我々は一所懸命と清貧が正しい、と刷り込まれている。本書で吉本氏は社会に流れる「うその考え」を否定する。仕事はいいことじゃない、会社は実は建物だ、資本主義とはお金を集めることに意味がある、など正論とは真逆のことを言う。悪人正機の様に非常識な表現から真実が見えてくる。

蛇足

 

「巧言葉令色少なし仁」もまた逆さま

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