毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

どうして秋になると葉っぱが紅葉するか知っていますか?~落葉樹は冬の厳しい高緯度地域にも進出した

 植物の不思議な生き方 (朝日文庫)

稲垣氏は「みちくさ研究家」、ブログでも取り上げた「弱い戦略」も執筆、本書は2013年12月刊。

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光合成葉緑素

植物にとって葉は、光合成を行う重要な器官である。光合成とは、太陽エネルギーを利用して二酸化炭素と水から光合成を行う重要な器官である。光合成とは、太陽エネルギーを利用して二酸化炭素と水から植物が生きていくための糖分を作り出す生命活動のことで、光合成は葉っぱの中の葉緑素によって行われる。葉っぱが緑色をしているのは、葉緑素が緑色だからなのだ。葉緑素は、二酸化炭素と根から葉に運ばれた水を原料に、せっせと糖分を作り出し、できあがった糖分は葉から茎へと運ばれている。葉は植物にとって糖分の生産工場のような存在なのである。(168ページ)

 

夏から秋になると葉の維持コストと生産アウトプットが逆転

夏の炎天下が嘘のように太陽エネルギーが不足する。気温の冷え込みは光合成の効率も低下させ、生産の減少に拍車をかける。根の動きも鈍り、水の量も不足しがちだ。・・・ついに葉の生産工場は赤字収支に転落した。生産性は落ちているのに、葉の維持コストは同じようにかかる。それどころか、葉からは水分が蒸発して貴重な水分を浪費する。(169ページ)

離層を形成

植物は葉の根に「離層」という水分や栄養分を通さない層を作ったのだ。・・・もはや水分も栄養分も葉に供給される事は金輪際ない。・・・(それでも葉で)作られた糖分が茎に送られる事はない。茎と葉の間は離層という厚い壁によって遮られているのだ。行き場を失った糖分はやがてアントンシアンという赤い色素に変えていく。(170ページ)手持ちの水分と栄養分を使って光合成を続けていくのだ。

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紅葉が赤く染まる理由はアントンシアン、それではなぜそうするか?

紫外線の働きによりアントシアンが発生する事はわかった。それではアントシアンは何かの役にたっているか?植物にとってのストレスを緩和する働きがあるとか、アブラムシなどの害虫が忌避する可能性がある、などの仮説が提唱されている。

落葉樹は紅葉というメカニズムを組み込む事で四季の存在する高緯度地域にも進出が可能となった。単純に糖分がアントシアンに変わる事が効率がいいと考えればいい。

蛇足

照葉樹は北国には植生できない。

地球上の多種多様な生物が教えてくれること~弱者と強者の戦略 - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

 

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