毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

夜空はなぜ暗いか~HTS(ハッブル宇宙望遠鏡)

1929年米国天文学者ハッブルは宇宙は銀河系から遠ざかっている事を発見した。

これは当時最新のテクノロジー(2.5メートル望遠鏡と高感度写真乳化剤)が可能とした観測結果る。宇宙は膨張しておりそのスピードは遠くになればなるほど速い。光速を超えた恒星の光は観測できない。だから夜空は暗い。 

ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見 (幻冬舎新書)

野本氏はサイエンスライター・翻訳家。天文学チームにより97年末から98年にかけ、HDF(ハッブル・ディープ・フィールド:宇宙のはて~宇宙の誕生寺の姿)の一部の領域を対象に、HTS(ハッブル宇宙望遠鏡)につけられていた赤外線検出器のテスト観測が行われました。その時たまたまⅠa型超新星がその領域に出現しました。宇宙が誕生して今日までの時間の四分の一しかたっていないころ(35億年ころ)に爆発した超新星です。(中略)宇宙が加速も減速もせずに膨張している場合に予想される明るさに比べて25パーセントも明るい事がわかりました。(217ページ)

 この結果は、宇宙の誕生から80億年以上たった超新星(もっと近くにあり観測しやすい)の明るさは予想より暗い、という結果と併せると宇宙は膨張をはじめ、膨張スピードが減速し、また膨張スピードが速まっているという解釈が成立するロジックを我々に実感させてくれる。

 超新星は巨大恒星が爆発して生じるもの、人類の最古の超新星の観測記録は2世紀の中国にまで遡れる。人類は観測技術を高度化する事で理論を精緻化、実証してきた。そしてその「テクノロジー=物理的な事象」を知る事により宇宙の歴史には根拠あるのだという事を臨場感を持って理解できる。

 今回のテクノロジーはHTS(ハッブル宇宙望遠鏡)でした。2013年9月14日発射されたイプシロンロケットに搭載された惑星分光観測衛星「ひさき」は何をもたらすのであろうか?