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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

情報にとって国境は意味を持たない~『〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史』玉木俊明氏

〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史 (講談社現代新書)

玉木氏はヨーロッパ近代史の研究家、 17世紀オランダの活版印刷、19世紀イギリスの電信、20世紀アメリカの電話――、世界史上のヘゲモニー国家は、情報革命の果実を獲得することで、世界の中核となった。しかし、インターネットがもたらしたのは、中核なき世界だった!(2016)

情報の非対称性

長期的な観点に立つなら、情報は、限られた少数の人が持つののから、多数の人が持つものへと変わっていった。だからそこ経済が成長しただけでなく、世の中のあり方が大きく変わったのである。そう考えれば、世の中は、だんだん平等になっていったといえるだろう。経済学的にいうなら、これは、情報の非対称性―ある分野の専門家と素人の間で情報に格差が生じる現象―の小さい社会が誕生したことを意味する。(5ページ)

情報で見た近代世界システム

近代世界システムの内部に組み込まれると、均質化した情報を入手できるという点である。さらに中核には、さまざまな商業情報が流入してくる。近代世界システムの中核に位置し、圧倒的に経済力の強いヘゲモニー国家は、その地位にいることで、莫大な利益を獲得できる。・・・中核を通して多くの商業情報が拡散し、やがて近代世界システムの内部での情報は均質化する。その過程が完了するまで、中核は、情報の優位性を保持する。(10ページ)

インターネットと情報

インターネットはアメリカの軍事技術から生まれた。・・・インターネットで使用される言語のほとんどは英語であるが、かとって、アメリカが、インターネット利用の支配者であるというわけではない。情報を発信するうえで、もはや中心と呼ぶことができる場所はなくなりつつある。世界のすべての地域から、情報は発信できる。(199ページ)

中核のない次世代の世界システム

情報という観点からとらえるなら、中核も周辺も半周辺も、もはや存在しない状況が生まれつつある。新しいシステムとは、近代世界システムと異なり、中核を欠くシステムになるものと予想される。(189ページ)

情報帝国の興亡

オランダは活版印刷により、イギリスは電信により、アメリカは電話により、情報が集まる仕組み=ソフトパワーを作った。このソフトパワーにハードパワーが組み合わされてヘゲモニーが確立される。

「アメリカは、ハードパワーとして位置づけられる国際機関と多国籍企業と、アメリカ経済の情報の均質性に寄与した家庭で使用されるソフトパワーとしての電話を結びつけることで、ヘゲモニー国家になった。」(13ページ)

今となっては電話にそこまでの力があったとは信じがたいが、文字情報に加え音声情報と考えればその後の情報のマルチメディア化の第一段階として捉えればその影響力は大きい。

インターネットはアメリカによって作られ、アメリカにとって有利な部分は沢山ある。それでもインターネットは中心の無い分散ネットワークである点は変らない。だからこそ(いわゆる)イスラム国がインターネットを利用することを100%排除できない。もはやだれもインターネットの世界を100%コントロールできない。

新しい世界では地理的には情報の非対称性が小さくなっていき、「未開拓地のない世界」に近づいていく。一方、世界のどの社会構造の中にも、情報の非対称性が残る。情報の格差社会であろう。我々は様々な情報を入手できる。しかしどの情報を選択するかは人それぞれの持つ社会的文化的経験に大きく依存する。残念ながら垂直方法には情報の非対称性は残る。

蛇足

情報にとって国境のハードルは低い

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