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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

1984年アップルのCMが教えてくれること、ビジネスはパーソナルな感情に行き着く~『ムーンショット! -Moonshot』ジョン・スカリー氏(2016)

ムーンショット! -Moonshot!

 

 

ムーンショットとは、シリコンバレーの用語で「それに続くすべてをリセットしてしまう、ごく少数の大きなイノベーション」のことをいう。パーソナルコンピュータとして生まれたアップルIIもそうだし、クリエイティブな人々に向けて初めて手頃な価格で販売された、デスクトップ・パブリッシング・システムとしてのMacもそうだった。

これらに共通しているのは、「技術的なことに疎い一般の人々を賢くした」ということだ。スティーブ・ジョブズのいう「知性のツール」となったのである。(2016)

1000億円の企業を作る方程式

ほかにない顧客体験+もっとよい方法がある+低価格=最高のイノベーション

ほかにはない顧客体験

ほかにはない顧客の経験価値を提供して、「ワオ!」といわれるようなスターの地位を手にいれ、それを維持するのは大変なことだ。・・・この「ワオ!」という反応を得るには難しいが、継続的に得るのはもっと難しい。すばらしい実績も予測がつくようになれば、「ワオ!」は「だから?」に変わってしまう。抜きんでた顧客の経験価値をつくるのは、追いかける会社ではなく、先頭を走りながらバーを上げ続けて挑む会社だ。今日、わたしたちはコモディティ化した商品に埋もれて生きている。新製品は次から次へと出てくるが、そこに大きな違いはない。・・・「ストーリーを伝える」「顧客に極めて個人的な経験をもたらす」「自分は特別だと感じさせる」-そういったモノやサービスは成功する確率が高い。(176ページ)

アップルコンピュータ

専門家ではない人々のためのコンピューターを作っていた彼(スティーブジョブズとアップル)は、自分がつくりだした新たな経験を人々に売りたがっていた。わたしがアップルに雇われた理由はここにある。

経験価値マーケティングをアップルに導入するために雇われたのだ。当時のシリコンバレーにはまた一般消費者向けの広告はなかった。初めてMACを世に送り出すにあたって、わたしたちは経験価値マーケティングの考え方を軸に、あの有名な「1984」というコマーシャルをつくった。抜きんでた顧客経験価値と説得力のある経験価値マーケティングの組み合わせは大きな威力を発揮する。(194ページ)

4つのデジタル技術

わたしが本書で明らかにしたいのは、「生産性を上げるためのツール」から人間の「知的アシスタント」へと変貌した、近年のコンピューターの進化だ。この背景には、機械学習や大きく進歩したデータ・サイエンスを活用した新世代の自動知的システムがある。このムーンショットは、ビジネスをおこなう側から顧客の側に経済的な力を動かし、さらに賢い顧客を生み出した。・・・ムーンショットを後押ししているのは、急激に進化した4つのデジタル技術だ。そのうちの2つ-クラウド・コンピューティングとモバイル機器―は既に大勢のユーザーのもとに届いている。やがて膨大な数の小型ワイヤレス・センサーと、人口知能に組み込まれる新世代の数学的アルゴリズムは消費者の行動を個人レベルで分析して、自動的に結果を予測し、そして我々の決断を手助けするようになるだろう。(7ページ)

1000億円の企業=ムーンショット

スカリー氏は1982年、ジョブズによってアップルのCEOに招聘され、ジョブズを取締役から解任、そして自らもアップルのCEOを解任された経験を持つ。アップルは法人向けの商品であったコンピューターを個人向けの商品にした。その為のマーケティングを任されたのがスカリーだった。ペプシ社でコカ・コーラとのマーケティング競争を制した実績を買われてのことだった。

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今さら聞けないApple世界一有名CM"1984"の意味|KOKUSAI-I【AOI Pro.】

最近のエアビーアンドビー、ウーバー、シャオミといった新しい有力ブランドは賢くなった顧客が作ったという。そこには4つのテクノロジーの力と、「ワオ!」がある。生産能力が需要を上回った今日、新たに圧倒的な顧客価値を提供すれば世の中を変える企業も一気に成立することになる。ビジネスは生産サイドから顧客サイドに移っていたのである。1984年のアップルのコマーシャルは、コンピューターが個人向けの商品となったことを示している。

蛇足

1984年アップルの売上はたった500億円!(十分大きい)

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