我々はもっと自己表現していい!～パーソナルコンピュータのコンセプトを創ったアラン・ケイ氏が伝えたい事。
パーソナルコンピューティングの父、と言われることもある。主に、オブジェクト志向プログラミングとユーザーインターフェース設計に関する初期の功績で知られている。(Wiki)
1977年ダイナブックのモックアップ
History of Computers and Computing, Birth of the modern computer, Personal computer, The Dynabook of Alan Kay
わたしは、ボール紙でダイナブックの外観を示す模型を作り、どの様な機能をもたせるべきか検討し始めた。このときに、私が思いついた比喩の一つは、15世紀の中葉以降に発展していった、印刷物の読み書き能力（リタラシー）の歴史と、コンピュータの類似（アナロジーだった。）1968年に、同時に３つの画期的な技術に出会ったせいで、私は、ヴェニスの印刷業者、アルダス・マヌティウスのことを思い浮かべずにはいられなかった。初めて書物を現在と同じサイズに定めたのは、このマヌティウスだった。このサイズなら、15世紀のヴエニスの鞍袋にぴったり納まるから！（18ページ）
注：3つの技術①平面ディスプレー②オブジェクト指向プログラム③手書き文字認識
創造的思考のためのダイナミックなメディア～ダイナブック（1977年）
我々は、可能な限り小さく、持ち運び可能で、人間の感覚機能に迫る量の情報を出し入れできる装置を考えている。ビジュアル出力は、少なくとも新聞の紙面より質が高くなくてはいけない。オーディオ出力も、同様の基準に達していなくてはいけない。（37ページ）
マヌティウス（1450年頃 - 1515年）
15世紀に活躍した、商業印刷の父と言われるルネサンス期ヴェネツィアで活躍した出版人。グーテンベルクの本はノンブル（ページ番号）の有無及び本のサイズである。グーテンベルク聖書に見られるように、グーテンベルクの作った本にはノンブル（ページ）がなく、かつ大変な大型本であったのに対し、アルドゥスの視点は異なり、ページの順序を示す番号を紙面の端につけ、また八つ折半を採用することで本のサイズ自体を小さくした。「持ち歩ける」小型本の歴史はアルドゥスに始まるものであり、これは書物史における転換点であった。(wiki)
気谷 誠 氏講演録「懐中のルネサンス」2005
パーソナルコンピュータとはコミュニュケーションのアンプ（増幅機）
コミュニュケーションのアンプー人間の目と耳がもつ情報処理能力と、その表現能力との間にある大きな不均衡を解消するものです。私はバッハのフーガを聴くことができますが、それを他人に対して表現するとなると、何かの機械が必要になります。ピアノかパイプオルガンか、何かそういうものが必要です。（中略）人間は、コミュニュケーションしたい、という絶大なる欲求を持っています。我々が“コミュニュケーション中毒”なのは受容能力と送出能力のあいだに、このように巨大な格差があるからにほかなりません。
パーソナルコンピュータはメディアである
コンピュータが純粋なメディア機能だけを有したものとなっていた。それはダイナミックペーパーとも言えるようなものだとケイは考え、後にダイナブックと命名した。（中略）ケイはダイナブックについて次のような条件を設定した。「ダイナブックを設計する目的の一つは、あらゆる点で紙よりも劣らないようにすることである。アラン・ケイは生涯かかっても完成できるかわからない目標に出会った。コンピュータはメディアであるという啓示を得たのである。ケイが好んで使う、「視点はIQ80に相当する」という言葉どおり、着眼点が大切なのだ。（巻末浜野保樹氏の解説、193ページより）
パーソナルコンピュータはメディア、自己表現する子供にこそ必要!今もアラン・ケイ氏のコンセプトはぶれない。アラン・ケイの考える、アイディアについてのすごいアイディア | Talk Video | TED.com
「未来を予測する最良の方法はそれを発明してしまうことである」
アランケイ氏の名言として有名である。本書を通じアランケイ氏は未来を50年単位ではなく、500年単位で考えていたという事。これが「視線はIQ80に相当する」という事。我々は50年はおろか、5年で物を考えていかないか？それではIQは上がらない。
蛇足
我々はもっと自己表現していい！
