毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

人と人が真剣に向き合う為に~茶はお互いの関係性と共通利益を考える抽象的思考を様式化したもの

利休七則(りきゅうしちそく)

茶は服(ふく)のよきように、炭(すみ)は湯の沸(わ)くように、夏は涼(すず)しく冬は暖(あたた)かに、花は野にあるように、刻限は早めに、降(ふ)らずとも雨の用意、相客(あいきゃく)に心せよ。

七則に簡単な注釈を加えると、

心をこめる、本質を見極める、季節感をもつ、いのちを尊ぶ、心にゆとりを持つ、やわらかい心を持つ、たがいに尊重しあう

http://www.urasenke.or.jp/textb/kids/kokoro/kokoro.html

f:id:kocho-3:20140603075409p:plain茶道 お茶、再発見 -- 朝日新聞GLOBE

 

接客は利休に学べ小早川氏は茶道をマネジメントの観点から研究、「人・千利休が、飲食店チェ-ンの接客コンサルタントとして活躍する新感覚の接客本。」

 

現代の接客スタイルの由来

現代の接客スタイルは、実は茶道のもてなしに由来しています。明治時代後期から昭和中期にかけて、女性の嗜み事として茶道が爆発的に流行しました。「茶道は嫁入り道具」の一つとして考えられたほど大流行、茶道人口も優に1000万人はくだらなかったでしょう。接客マニュアルなど存在しないその当時、飲食店のウェイトレスや百貨店に販売員たちは自分たちの教養に基づいて、お店にこられるお客様をお迎えしました。その教養こそ、茶道によって培われた礼儀作法だったのです。それだけでなく、「お客さんに喜んでもらう」という発想自体が実は、「茶は服のよきように」という利休の提唱した「もてなし」の哲学に由来します。(99ページ)

一期一会

様々な飲食店で語られる「一期一会」とは利休の高弟として知られる山上宗二が利休を含む昔の有名な茶人たの教えをまとめた本、「山本宗二記」に記された「一期に一度の会のように亭主を畏敬すべし」という言葉に起源があります。(中略)戦国の世における一期一会は、明日死ぬかもしれない武将たちを相手にした、本当に一生に一度のもてなしが多かっただけに、非常に納得がいきますね。刀を持たぬ茶人たちにとっての一期一会とは、命懸けの真剣勝負だったのでしょう。(129 ページ)

Kochoの考えた事~縁起の思考を様式化したもの、それが茶道

戦国時代、武将同士、武将と商人、あるいは茶人、命のかかった「対面」があった。その時、自分と相手との関係性、そしてお互いの共通理解を形成するという縁起に通じる抽象的な思考形式を、茶をたてる、茶を頂く、という共同した一連の動作に落し込んだと理解できる。敵対するかもしれぬ武将同士が「茶という共通の場」で、お互いの思考をぶつけ合いそこに理解を見いだした。

飲食業、接客業において「一期一会」、そして「利休七則」が尊ばれてきた事は「逆のロジック」として捉えられる、茶は接客マニュアルの発想を抽象化したものという考えかたである。

縁起の思考方法を少し具体的にしたのが茶道、茶道を各々の現場に合わせて具体的にしたものが接客マニュアルという相似形にあると考える。茶道が飲食業の世界にフィットする理由がここにある。

蛇足

戦国武将がもっとも具体的に思考をぶつけ合う、それが戦。