毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

重力波観測のニュースを「認識」するために~YouTube「重力波望遠鏡」と佐藤勝彦氏のインフレーション理論

 時事ドットコム:「大変ありがたい話」=インフレーション理論提唱の佐藤機構長−重力波観測で

 

宇宙のインフレーション理論と重力波、佐藤氏本人の著作を読む。

宇宙137億年の歴史 佐藤勝彦 最終講義 (角川選書) 

まずは重力望遠鏡の画像


[ScienceNews]最新鋭の「重力波望遠鏡」 KAGRA計画始動 - YouTube

アインシュタイン一般相対性理論

アインシュタインは、時間と空間を「時空」という一体のものと考え、その時空と物質の間には密接な関係があることは、完成した「重力場の方程式」そのものが物語っています。重力とは、空間の曲がりによって生まれる力だと、「相対論」は主張するのです。

『時空の曲り具合』=『物質が持つエネルギー』ー『宇宙項』

式の左辺は「空間の幾何学」を、右辺はその場のエネルギーや運動量といった物質の性質を表しています。

 

佐藤氏はアインシュタイン方程式で初期宇宙をモデル化

初期宇宙では、宇宙のエネルギーを完全に支配していたのは、放射、つまり光でした。それと同時に、この初期宇宙でもうひとつ忘れてならないのは。真空の存在です。粒子を場と見たり、場を粒子とに見立てたりする場の量子論の立場からは、「真空は場のエネルギーが最低の状態を指すもの」でした。(155ページ)

私(佐藤)は、アインシュタイン方程式に真空のエネルギーを代入してみました。するとすぐにわかった事は、真空のエネルギーには斤力が働くことでした。宇宙初期に真空のエネルギーがあるということは、宇宙項があったのと同じである。アインシュタインの宇宙項は「斤力」、つまりからっぽの空間がお互いに押し合う力だということになります。(103ページより再構成)

 

宇宙の誕生時には光と、そして次に重力が生まれた

宇宙のごく初期には、力は一つしかありませんでした。(重力、電磁気力、強い力、弱い力、の)4つの力が、宇宙が誕生した瞬間には、全部が同じものだったのでです。10^-44秒後に重力がほかの3つの力とわかれ、次に、その3つの力のうちから強い力だけ分離するのが10^ー36秒後で、これが大統一理論の予言です。そして最後に残った電磁気力と弱い力が分離したのは10^-11秒後で、これが電弱統一理論が明らかにした力の統一です。簡単に言えば、超高温の時は一つの力として存在するほうが安定するけれど、ある一定以下の温度になると力が分かれたほうが安定するからです。(136ページ)

重力波は宇宙誕生10^-43秒後の姿を記録

 

 アインシュタイン一般相対性理論の方程式は、重力波という、電磁波や光のように、重力も波として伝わる事ができる、ということも予言していました。重力波というのは、空間のひずみがあたかも波のように伝わっていきます。非常に巨大な質量をもった天体が振動したりすると、その影響は遠くまでそのひずみとして伝わっていくのです。(247ページより再構成)

 

今回宇宙マイクロ波背景放射(CMB)に「重力波の影響」を分離し間接観測に成功

初期宇宙に重力波が存在すると、それはCMBの偏光にB-モードと呼ばれる渦状のパターンを引き起こすことがわかりました。(中略)


CMBのB-モード偏光は、原始の重力波以外にも、ビッグバンの後に形成された銀河などの重力によって光の伝わり方が変化することでも起きます。原始の重力波の存在を確認したというためには、B-モード偏光からこのような効果をきちんと引き去る必要があります。原始の重力波 : 大栗博司のブログ

 

人類はは400年前光学望遠鏡から初め、マイクロ宇宙波、ニュートリノまで直接観測に成功している。最後に残るのが重力。マイクロ宇宙波による間接観測に成功した事により何が重力波か認識できている。人類は認識できるものは必ず発見できる。