恐竜をめぐる3つの「初めて」~時間と空間を認識する為に
小林氏は恐竜の研究家、土屋氏はサイエンスライター。「恐竜を知ることは大人にとっても楽しく、知的刺激に溢れている。 恐竜学の発展は日進月歩。」
恐竜とは、その定義: 鳥盤類と竜盤類の共通祖先
恐竜とは「トリケラトプスと鳥類の最も近い祖先から生まれたすべて」と定義されている。なぜ数ある恐竜の中でトリケラトプスだけがここに名前を上げられているかといえば、トリケラトプスが最も良く知られた恐竜の代表格だからです。そして、このトリケラトプスに代表される恐竜を「鳥盤類」と呼びます。
鳥盤類と並ぶもう一つの恐竜グループは「竜盤類」です。こちらはトカゲとよく似た骨盤を持っています。竜盤類の代表的な恐竜といえば、「ティラノサウルス」を上げる事ができます。しかし恐竜の定義には、ティラノサウルスの名前はありません。かわりにあるのは「鳥類」という言葉です。実は近年の研究によって、鳥類は恐竜の1グループである事がわかっています。鳥類は竜盤類に属し、その中で最も進化系といいます。
鳥盤類と竜盤類の共通項と相違点
共通項は「からだの下にまっすぐ伸びた爬虫類」(17ページ)、相違点は骨盤を形成している腸骨・恥骨・座骨のうち、恥骨が頭(前)を向いている=竜盤類、恥骨が尾(後)を向いている=鳥盤類、が相違点。(33ページ)
恐竜がいた時代
恐竜が登場したのは、三畳紀にあたるおよそ2億3000万年前のことになります。そして、白亜紀末の6600万年前に姿を消しました。その間、およそ1億6000万年前間です。分類の規準が異なるので一概には比較できませんが、人類の歴史は約700万年といわれています。恐竜がいた期間はその23倍以上にあたります。
最初の恐竜2億3000万年前のエオラプルトル~地球上の生物の大部分が絶滅したといわれる三畳紀前から約2000万年をへて登場。大きさ約1メートルの中型犬の大きさで二本足歩行。(1991年アルゼンチンで発見)
「Dinosauria」という言葉1842年リチャード・オーウェン氏が命名
19世紀を代表するリチャードオーウェンです。オーウェンはメガロサウルス、イグアナドン、ヒエオスルスの三者をまとめ「Dinosauria」と呼ぶことにしました。1842年の事でした。日本で言えば、江戸時代末期の頃の話です。(27ページ)
恐竜という言葉1895年横山又次郎氏が命名
1891年に東京帝国大学の小藤文次郎教授が、「魚竜」「蛇竜」という言葉を初めて使っているようです。1895年に同じく東京帝国大学の横山又次郎教授が著した教科書に、初めて「恐竜」という言葉が登場するとあります。
恐竜をめぐる 3つの「初めて」
①2億3000年前初めて恐竜が誕生し、②1842年「Dinosauria」で人類は初めて言語化し
③1891年「恐竜」という漢字を初めて使用した。これらの初めてを分けるのは時間軸と空間の違い。
蛇足
我々は幾つもの時間軸を認識できる。