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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

500年前の宗教改革は宗教の自由競争を生んでいた~『ロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで 』深井智郎氏(2017)

 プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)

 1517年に神聖ローマ帝国での修道士マルティン・ルターによる討論の呼びかけは、聖書の解釈を最重要視する思想潮流につながりプロテスタンティズムと呼ばれることになった。(2017) 

プロテスタンティズム

・・・イングランド宗教改革ではじまった国家や政治的支配者に依存しない自由な教会形成の試みは、国営教会が存在しているために、どうしても完全に自由な競争にはならないという壁にぶつかった。そこで(ピューリタンと呼ばれた)彼らはこの自由の獲得のために、また新しい本当のキリスト教的ヨーロッパを再建するために新大陸に向かったのであった。・・・・それゆねにアメリカではリベラリズムとしてのプロテスタンティズムが主流派になった。・・・そこで最終的に構築されたプロテスタントの特徴とは、国家や政治的支配者に依存しない教会の設立という新プロテスタンティズムの伝統にあった。(168ページ)

アメリカ合衆国憲法修正条項第1条(1791年)

合衆国議会は、国教を制定する法律もしくは自由な宗教活動を禁止する法律・・・を制定してはならない。

宗教も市場化し自由競争

国営教会がなければ、そこではまさに教会は一つの自発的結社として、一つの民間団体として、宗教市場で自由な競争が可能になる。(172ページ)

アメリカの宗教の市場は、この民営化と自由化の中で、伝道と呼ばれる競争を続けている。・・・(アメリカの)町のメインストリートにはいくつもの教会があって、人々はそれを自ら選んで一つの教会に行くのである。この市場の中で、自分にもっとよき宗教的指針を与え、魂のよりどころとなり、宗教心を満たし訓練してくれる礼拝と牧者を求めて、教会を選び、移動する。(178ページ)

プロテスタンティズムとアメリカ社会

カソリックでは)天国行きの唯一のエージェントであった教会の干し得にすがるようになっていた。・・・(その対抗勢力として生まれたプロテスタンティズムでは、特にそれは通俗化した場合、)この世で成功している者こそが天国に行ける者であり、それが、神が救いを予定したことの証明だという考え方である。・・・アメリカでは与えられた人生で成功した者こそが神の祝福を受けた者だといされたのだ。これがアメリカの自由な競争という市場の考えと結びついて、一代での成功物語こそがアメリカの美談になるし。それだけではない、この社会には国家教会や社会の正統などないのだから、市場で成功し、勝利した者こそが正義であり、真理であり、正統になる。これがアメリカ的なイデオロギーに宗教が与えた影響であろう。(182ページ)

プロテスタンティズム

ルターの宗教改革は1517年、500年前に始まった。本書によればルター自身はカソリックに対抗するプロテスタントを作ろうという意図最初からを持って始めたのではないが、世界を変える大きな潮流になったことは明らかである。そしてこの潮流は現在のアメリカを初めとする西欧世界に大きな影響を与えている。

アメリカは憲法で国教を定めない、と規定されている。それではアメリカ大統領は就任のときなぜ神に誓うのか?著者はこの神は“新プロテスタンティズムとしてのキリスト教に限りなく近いナショナリズム”であり、大統領はこれを司る大祭司であると説明する。

アメリカ経済の自由競争、民間優位、そして世俗的成功思考、これらアメリカの経済的価値観もまたプロテスタンティズムの影響を受けて確立したものであった。

今から500年前ルターの始めた宗教改革は宗教に自由競争を持ち込んで世界を大きく変えていた。

蛇足

アメリカでは宗教も自由競争

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