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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

知っていれば命が助かる~『登山外来へようこそ』大城和恵氏(2016)

登山外来へようこそ (角川新書)

 大城氏は日本人初の国際山岳医資格を取得、三浦雄一郎氏のエベレスト遠征隊にもチームドクターとして参加する著者による「登山者のための必須の知識」。

 

 

高山病

高所というと3000メートルや4000メートルという高い山をイメージするかもしれませんが、医学的には標高1500メートル以上を指します。なぜなら標高が高くなると気圧が下がり、大気中の酸素が少なくなるので、その環境に(体が)適応し始めるのが1500メートルだからです、この代表的な反応が、無意識に呼吸の回数を増やす「低酸素換気応答」です。人の体には順応性があるのにどうして高山病になるのかといえば、その素晴らしい適応力が発揮される前に標高を上げ過ぎてしまうからです。・・・逆に言うと、ゆっくりと登っていけば高山病は、ほぼ防げるということです。(96ページ)

1日の標高は500メートル以内

現在の国際ガイドラインでは、1泊目は2500メートルより低い地点で宿泊すること、二泊目以降は前日に泊まった標高より500メートル以上は上げずに、少しずつ寝る場素の標高を上げていくことを推奨しています。(98ページ)

高山病と脱水症状

高山病と診断した人のほぼすべての人が脱水症状も伴っています。高所は低酸素換気応答により呼吸回数が増えるので、吐いた息から目に見えない水分がたくさん出ていきます。・・・高山病は脱水とセットです。しつこいくらいこまめな水分補給を忘れずに。(99ページ)

低体温症とは

低体温症は、脳や心臓などの深部体温が35度如何に低下した状態を指します。人の体は寒さを内蔵や皮膚で感知し、その情報を脳に送り、脳から対応を上げなさいという指令が出ます。・・・深部体温が37度以下になると人の体は震え始めます。これは無意識のうちにも筋肉を動かし熱を作ろうとしているからです。震えにはエネルギーが必要です。・・・カロリーを摂っておくことです。(83ページ)

登山外来へようこそ

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http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160809/med/00m/010/006000c

大城氏は「第三者に助けを求めたんら、その時点で遭難です。」という。富士山や北アルプスなどの診療所で登山家を診てきた。富士山だと高山病、脱水症状、低体温症が多いという。大城氏の言うことは誰でも知っていることである。「余裕を持った計画に、装備や非常食などの準備を怠らずに。そして水分を補給しましょう。」標高が上がれば呼吸が知らない間に増えている。日常とは違うスピードで脱水症状に陥る可能性がある。30分ごとのこまめな水分補給が必要だと言う。

日本では公的機関によって運営されている救助ヘリコプターは無料だそうである。大城氏は、自分が生命の危機に直面しながら必要な救助ヘリコプターの費用を心配して躊躇する登山者がいるという。知らないことは死を招く。「余裕を持った日程、こまめな水分補給を行う。」この知識を知っているだけで大きくリスクを減らせる。

本書冒頭に「今、死ぬ必要はないから、登るのはやめて帰ろう」と記す。その判断には知識が必要である。プロフェッショナルから学ぶことは多い。

蛇足

生きてさえいれば何度でも挑戦できる

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