毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

死んでからが勝負!200年間の座標軸~村上隆氏

 創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」 (角川oneテーマ21)

村上隆氏は現代美術のアーティスト。本書で村上氏は自分の目標を定義している。

これまでに日本で描かれた絵の中では、本当の意味で世界によく知られている名画は、葛飾北斎の「富嶽三十六景」のうちの1枚しか出ていません。大きな波の向うに富士山が見える構図の「神奈川沖浪裏」です。他にも、日本の画家が描いてそれなりの評価を得ている作品はありますが、世界の美術史に確実に残る絵はこの1枚だけです。(中略)僕の意識は、世界の美史に伝えられていく一枚を描くことに集中しており、そのために人を育てているともいえます。(28ページ)

 

アートとは

”死後に備えて作品を作り続けているとも言えるのです。それはつまり、「死んでからが勝負」という発想です。(100ページ)

アートとは歴史を理解し、その歴史と自分史、現在と歴史の座標軸のズレ、そして同期可能な部分などを作品内で検証し、解決していくというパズルゲームです。(135ページ)

 

そのためには

作家や作品に絶対的な意味を持たせてブランディングしていく方法は、世界のアート史を振り返ってみても、ひとつしかありません。それは”世界で唯一の自分を発見し、その核心を歴史と相対化させつつ、発表すること”です。(169ページ)

私の理解した事

人は200年単位で世界を認識できるし、認識できた事は実現できる。芸術とは「世界とその中の日本の今を普遍性のある形で抽象化する事」と理解した。