毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

アポトーシス プログラムされた細胞死

 田沼氏は生化学、分子生物学の研究者。本書では細胞レベルでの遺伝子による消去の仕組みが説明されている。ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)

アポトーシス(自死) 再生系細胞(例:28日周期で入れ替わる人間の皮膚細胞)50-60回の細胞分裂をくり返すとDNAのテロメア配列部分が短くなりアポトーシスを起こし細胞は自死する。

アポビオーシス(寿死) 非再生系細胞(脳の神経細胞や心臓の心筋細胞)脳神経の様に胎児までは細胞分裂を起こすが誕生以降は分裂せず個体の寿命との関係から一定時間を経過すると寿命が尽きる。

アポトーシスにより生体制御(個体の完全性確保)と生体防衛(異物除去)が行われ、アポビオーシスにより寿死まで同一性を担保している。

田沼氏は

アポトーシスとアポビオーシスという)二重の死によって自らを確実に消去します。重要なポイントはアポトーシスとアポビオーシスでは、どちらも生命のもとであるDNAが規則的に切断されるということです。私は、細胞死の本質は「遺伝子による自らの消去機能」にあると考えます。(中略)遺伝子が真に利己的(自己的=selfish)であるためには利他的(altruistic)に自ら死ねる次指摘(suicidal)な存在でなければんばらない。(後略)(153ページ)

遺伝子は情報を伝達する手段であり、いつまでも旧バージョンが存在する事は無意味なので自死により消去する事が必要、イメージできる。言い換えると情報とは遺伝子によって生み出されたものと言い換えられる。