成長するには”退化を受け入れる覚悟”が必要~『ICHIRO×AKIO TOYODA』(2015)×『イチローに糸井重里が聞く』(2010)
2015 年10月東京モーターショーで、メジャーリーガー、イチローとトヨタ自動車の豊田社長の対談を見る。イチローは「後退を受け入ろ」と語る。
ICHIRO×AKIO TOYODA #11「ICHIRO×AKIO TOYODA(フルバージョン)」 - YouTube
成長するには後退もしないといけない
自分が成長しているのを感じたことはない。
成長できるとすれば、後退もしないといけないという考え方ですね。
前だけむいて前進をすることはあり得ない、でも前に進めることを信じて変えていく。
だけど後からみるとそれは前に進めているとは言えなかった、でもののちのちあの経験が今の自分を作ってくれるというのは多々ある。
なかなか自分が成長していることを実感していることを実感することはないのかもしれない。
それは人が決めることなのではないでしょうか。(イチロー談)
2004年糸井氏とイチロー氏のインタビュー(文庫化は2010)
94~97年とスランプだった
96年の夏ぐらいだったんですね。オリックスが日本一になるシーズンです。…(スランプ脱出の)きっかけを見つけたがために、ずいぶんいろいろなことを試したんです。でも、光が見えてこなかった。ぼくにとって、考えられることは、もう、環境を変えることしかなかったんです。…96年前後、あのとき、特にバッティングは、カタチがものすごく変わっているんです。足を開いたり、もういろいろなカタチを試していた。…成績は、出ていました。でももしそこで、成績は出ているから今の自分でいいんだ、という評価をしてしまったら、今の自分はないですよね。(25ページ)
あれだけ変わるというのは、「どんどん退化した証拠」ですよね。進化するときっていうのは、カタチはあんまり変わらない。だけど、見えないところが変わっている。それがほんとうの進化じゃないですかね。(35ページ)
「見えないところ」とは何か?
ぼくは、その、94年から96年までの自分が見えていない経験からは、「客観的に自分を見なければいけない」という結論に達したんですね。自分は、今、ここにいる。でも、自分のナナメ上にはもう一人自分がいて、その目で、自分がしっかりと地に足が着いているかどうか、ちゃんと見ていなければいけない。…自分が自分でなかったことに、気づけたということ。それはつまり、「自分がやっていること自体よりも、世の中の人に評価されることを望んでいた自分がいた」ということです。(27ページ)
なぜイチローはメジャーリーグに行ったのか?
イチローはメジャーリーグに行く必要があったのか?2006年メジャーリーグ行きを口にしてから4年後の2000年、イチローはメジャーデビューをした。それから15年、進化し続けたイチローは輝かしい成績を残した。イチローは42歳になった。
進化するとは、退化をする覚悟を持つことでもあった。本当の進化は形を変えたことではなく、精神的な変化が本当の進化であった。進化だけをしたい、では進化できない。退化を受け入れる覚悟が必要である。
蛇足
進化するには退化を受け入れなければいけない。
蛇足の蛇足
対談の相手、トヨタの豊田社長は米国の公聴会で批判を受けた時のことを語っている。
「(社長である私が)謝ると、過去・現在・未来のすべてを誤ったことになる。」と語っている。トップとは「過去・現在・未来」のすべてに責任を持つ、という覚悟を持つことであった。
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