毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

肥満は伝染するか?~『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』N・A・クリスタキス氏&J・H・ファウラー氏(2010)

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

 クリスタキス氏は医学博士、フィラー氏は政治学の研究家。 肥満も性感染症も笑

いもすべて伝染する!?が提示する、クラウド時代の社会的ネットワークの姿。 (2010)

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 不幸な人びとと幸福な人びとは別々のグループに固まる傾向がある。加えて、不幸な人びとはネットワークの周縁に位置することが多い

社会的ネットワーク

 

 

人間のつくりだすネットワークは、それ自体、生命を持っている。成長し、変化し、再生し、生き延び、そして死ぬ。様々なものがそのなかを流れ、移動している。社会的ネットワークはいわば人間の作る超個体であり、独自の解剖学的形態と生理-構造と機能-を持っている。・・・アリの巣は超個体の原型だ。その特徴はアリそのものには見られず、アリたちの交流と協力から生まれる。力を合せることで、アリは個々の力を超えたものを作り出す。・・・巣から遠く離れた砂糖壺にたどり着く一匹のアリは、月面に一歩を踏み出す宇宙飛行士のようなものだ。どちらの偉業も、多くの個体や個人との協調的努力とコミュニケーションによって可能となるからだ。(358ページ)

 

私たちはネットワークのどこにいるか?

 

私たちは混雑したダンスフロアにいるようなものだ。周りに10名の人がひしめいているのはわかるが、自分が部屋の真ん中にいるか端にいるのかは定かではないし、自分に押し寄せてくるのが歓喜の波なのか恐怖の波なのかもわからないのだ。(363ページ)

ネットワークの中心

 

 

社会的ネットワークの中心にいる人は周縁にいる人より、一次、二次、三次の隔たりで多くの人とつながっている可能性が高い。その結果、もし良いもの(お金や尊敬)がネットワーク内を流れていれば、中心にいるがゆえの得点を手にできる。(369ページ)

 

 

協力者は協力者同士でつきあう場合が多く、利他的傾向にはホモフィリー(似たもの同士集まる傾向)が存在するのだ。利他的な学生も利己的な学生も、平均すれば友人の数は同じだった。しかし、利他的な人は、自分と同じ利他的な人々のネットワークに深く組み込まれていたのである。(370ページ)

 

社会的ネットワーク

 

自分の周辺の10名を見れば、ネットワークの性格はわかる。しかしそれだけでは、自分は自分がネットワーク全体での位置を認識できない。ネットワークの中心に位置する為にはネットワークに貢献しなくてはいけない。そのネットワークに自分はどういう貢献ができるのか?考えることがネットワークの中心に近づいていく方法であろう。

ネットワークは参加者に恩恵をもたらす。ネットワークに沢山与えれば、ネットワークは沢山のものを返してくれる。その為には自ら与え続けることが必要である。

本書は肥満、感染症などの疫学的予防の研究成果がベースになっている。肥満傾向のある人は肥満傾向のある人でグループを作っているケースが多いことが実証的に確かめられている。

これらの研究の成果によって社会的ネットワークの特徴が表現されている。こうやって概念だけを取り出すとおよそ宗教的なあるいは自己啓発的な色彩を帯びてくるから不思議である。

蛇足

 

友人10名のリストを作って、自分を再発見してみる

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