毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

温度計が無かったらどうやって気温を伝えるか?~測定するには尺度と目的が必要

温度から見た宇宙・物質・生命―ビッグバンから絶対零度の世界まで (ブルーバックス)

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17世紀イタリアで使われた「寒暖によって生じる空気の変化を見分ける装置」

 

測定するとはどういう事か?

 

 

17世紀初めは、様々な測定機器が発明された時代であった。この時代に、望遠鏡、顕微鏡、温度計、それからやや遅れて、振り子時計が発明された。だが、測定に科学的意義があるのは、測定の結果が何らかの証明や反証に役立つ時だけである。(65ページ)

 

温度とは何か?

 

 

測定は、何を図っているかを自覚している時、つまり目的をもって測定している時にのみ、興味深いものとなる。私たちは長さがゼロだとか、時間がゼロだとかどんなものか知っているが、温度ゼロは何を意味するのだろうか?私たちの感覚では、二つの物体のうちどちらがより温かいかということは簡単にわかるが、長さと時間の場合には明確である絶対的なスケール(目盛り)が、温度には欠けているように見える。“科学的”な方法で温度を測ることになって人々は、自分たちが測っているのは本当は何なのかという疑問を頂くようになった。(76ページ)

 

初めて温度を測った人~サントリヨ

 

 

アレクサンドリアのヘロンが1500年以上も昔に記述したのとそっくりなサーモススコープを用いて健康時の体温からのずれを測るために、サントリョはこの器具に目盛りをつけたのであった。この目盛りのついたサーモスコープは基本的には体温計であり、温度のずれを定量的に測るものであった。・・。彼は体温を体系的に測った初めての人だったのである。(71ページ) 

 
温度計以前

 

 

1592年ガリレオがヘロンの記述を参考に温度計を発明したと言われている。本書によればガリレオは実際にはほとんど活用せず、ガリレオの友人サントリョが1612年に「統計的医学技術」で「体の温度」を初めて「測定」した。温度計が普及するまでは我々は温度を測る方法と温度の尺度の両方、つまりは「温度という概念」そのものを持たなかったのである。温=熱、という感覚はありながら温度という概念は無かった。我々は温=熱を言葉で表現するだけだった。

f:id:kocho-3:20141209083217p:plain温度計というよりインテリア?温度計 - Wikipedia

サントリョは何をしたか?

 

サントリョはサーモスコープを使って体熱の測定を行った。つまりは熱を初めて目的を持って測定した事になる。熱力学への第一歩がここに始まった。

熱力学における熱

 

熱とは、慣用的には、肌で触れてわかる熱さや冷たさといった感覚である温度の元となるエネルギーという概念を指している。熱力学における熱とは、1つの物体や系から別の物体や系への温度接触によるエネルギー伝達の過程であり、ある物体に熱力学的な仕事以外でその物体に伝達されたエネルギーと定義される。(wiki

蛇足

 

温度計のない時代どうやって気温を記録に残したか想像してみる。

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