毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

真空とは五感で感じられる物質のない事、五感で感じられない場は存在する~「真空のからくり」

真空のからくり (ブルーバックス)

 山田氏は理論物理学、「真空は決して“空っぽ”の空間ではなく、複雑極まる物理系であり、この宇宙のすべては真空から生まれた」-これが本書のメインストーリーです。(3ページ)2013年刊

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場の存在を五感で感じる事はできない、何らかの物理量に変換する必要がある。

 

エネルギーは不確実

 

 エネルギーを測定するには、それ相応の時間がかかります。より正確にエネルギーを測定しようと思えば、それだけ長く時間を費やさなければなりません。エネルギーをどれだけ正確に測定できるかは、「測定時間の長さ」に関係しています。測定時間が短いほどエネルギーの値はあやふやになり、長いほどエネルギーはより正確になります。(63ページ)

お風呂の温度を測る事に例えると

 

・お風呂の温度を1秒で図るのと1分で図るのとどちらが正確か?

・温度計の図った1点はお風呂全体の温度を表しているのだろうか?

・温度計を差し込んだ事によりごく僅かだがお風呂の温度は変化していないか?

結局は温度のお風呂の温度を不確実性なく測定するのは不可能と直感で理解できる。

量子力学でいう時間間隔(ブランク時間)

 

量子力学では、「時間」には形も重さも色も大きさもないため、「時間」を観ることはできず、物理量とは見なされません。時間は「概念量」ということになります。・・・(時間ではなく)「時間間隔」には少なくとも原理的には何のあやふやさもありません。・・・すると「エネルギー」と「時間間隔」の間に不確実性は次のように表されます。(64ページ)

 

「エネルギーの不確実性さ」×「時間間隔」=ブランク定数k 

 エネルギーが不確実な事の意味

エネルギーの値が定まらず、幅があるということは、「不確実性原理」が許す範囲内でエネルギーが保存されていないことを意味します。不確実性原理に従う「時間間隔」内ではエネルギーは保存されず、どんな値でも取りうるということです。ここに「発生源のないエネルギー」が存在しうる秘密が隠されています。(65ページ) 

そもそも真空とは

 

 この宇宙で最も低いエネルギー状態を有する空間を「真空」というのです。・・・私たち人間の五感はそのような自然の状態の真空を関知することができないのです。感知できないということは、人間にとって真空は真空でしかありえないことになります。(87ページ)

 

 

真空のからくり

 

真空とは物質の存在しない空間である。しかし実際は”場”で満ちあふれている。場は物質ではなく人間は直接感知する事はできない。我々は物質ではない、重力場、電磁場、ヒッグス場などに囲まれている。本書のタイトル、「真空のからくり」の意味する所は真空は場とという構造を持っている事を意味する。量子物理学の世界は物理=物質以外にも拡張されている。

蛇足

物質だけを考えても始まらない。

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