毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

電流って何?~「呼び鈴」が量子力学と相対性理論の持つ意味を明確にする

呼鈴の科学 電子工作から物理理論へ (講談社現代新書)

吉田氏は数学・物理などの著述家。『本書はファラデーの名著「ロウソクの科学」の精神に倣い、一つの主題から湧き出てくる様々な問題を、簡単な実験を通して体感できるように工夫して、電磁気学解説の新生面を開いたものである。』

どうして呼び鈴か?

電流を流すと磁力が発生している事が簡単に見てとれるからである。「呼び鈴は、自ら駆動するエンジンとして電磁石を用い、電気から磁石へ、磁気から音への変換する装置なのです。」(28ページ)「磁石とは、極微の世界の物理学である量子力学を用いなければ、絶対に説明不可能な性質を持っているのです。」(50ページ)

電子が持つ3つの顔

電子は重力の素となる「質量(一種類)」、電気の素になる「電荷(正負)」、磁気の素になる「スピン(上・下)」という三つの顔を持つ。

 

f:id:kocho-3:20140617084538p:plain(167ページ)

 

電子の流れは電流、その電流が電線を流れるという事

 

電線内部を電気が流れると自由電子陽イオンの状態が伝播していく。これを吉田氏の解説から整理したのが下の図。

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電子系は電線とその外側の実験室が動き、実験室系は電線の中の電子だけが動く

磁場と電場は同じ状態を指し、研究室系の視点か、電子系の視点かの違いという事になる。これを電磁場という。

電磁場と量子力学

この電磁場の変動が波の形式で伝わる時、それは「光の速さ」を持っています、これは電磁波と呼ばれていますーこれを簡略化して電波と呼んでいるわけです。その作用は光速で伝わり、相対性理論の「光速度不変の原理」に従うのです。量子力学は、自然界の究極の要素は全て、波と粒子の性質をもつ、量子であることを安芸中にしました。粒子としての側面が強い電子や陽子も波としての性格を持ち、波としての側面が強い光もまた粒子としての性格を持ちます。(197ページ)

 

我々は電気を見る事が出来ない。コイル状に電線を巻き電気を流した時電気の存在を磁力という形に置き換えられる。それが呼び鈴。

蛇足

日常では電線は真っ直ぐ、だから電気と磁力が結びつかない。