毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

世界で最初のビジネス成功本はいつどこで出版されたか?~110年前の視点があなたを不安から開放し成功へ誘う!

 

2008年に米国で出版された「お金と富の哲学~成功する人は読んでいる」にマックスウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(以下「プロ倫」という)が紹介。「資本主義の精神において重要なのは、貪欲や消費ではなく、秩序の創造と資源の有効活用である。」369ページ。成功する為にお金と感情の問題の整理の為プロ倫が薦められている。

 

新書で名著をモノにする 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 (光文社新書)牧野氏は政治学、特にマックス・ウェーバの研究家。 

営利と対立するキリスト教、戒律に厳しいプロテスタントがなぜ資本主義と合致するか?

 経済的発展の進んだ地方は宗派的にプロテスタントが多く、商工業の経営者や大企業の上層労働者や管理職など、資本主義的な職業活動に対する関係においてカトリック教徒とプロテスタントとの間には顕著な相違(プロテスタントの方が成功している)がある事が示されます。(51ページ)

 

プロテスタントのロジック、『人は「神の道具」』

プロテスタントのロジックは)神はご自身の栄光を示す為に世界の救済の計画をあらかじめ立てられた。人間の一部を選ばれて回心させるという信徒の救済も神の計画に一部にすぎない。人間の為に神が存在するのではなく、神の為に人間が存在する。(中略)(この神を確信するカルヴァン派)神の栄光の為に神の僕となって働かなくてはならない。(69ページ)

 

プロテスタントは「年々利益を増やしていく事」で神へ奉仕

 プロテスタントにとって)救いの確信は、日々新たに労働とその成果を通して確認されなければならない。自己の行為を絶えず蓄積して吟味し、それに基づいて自己の労働を合理的に組織していくという強力な動機付けがプロテスタントの中に生み出されたとウェーバーはいうのです。(86ページ)

 

プロテスタントの発想を理解できない者は不道徳

 プロテスタントに)従わない者を道徳的に非難し、自分たちの道徳的基準を強制しようとする、そうした攻撃的で強圧的な態度がその内にはらまれているとウェーバーはいうのです。プロテスタントにとって、貧困者に対する慈善は怠惰と墜落を助長するものとして激しく批判される一方で、勤勉な労働者はまさに禁欲の鏡として賛美されることになります。(8688ページ)

 禁欲的プロテスタンティズムは近代資本主義を作り出した

 禁欲的プロテスタンティズムが生み出した資本主義の精神は営利活動を天職とすると同時に、職務に忠実で勤勉な労働者を企業家が搾取することを「合法化」することによって近代資本主義の前提条件を作り出したのでした。(90ページ)

 

ビジネスの為にプロ倫=資本主義のフレームワークを使う

 ビジネスの成功の為にプロ倫フレームワークで事業をデザインするとどうなるか?現在の社会においても有効であると考えている事がわかる。「神の栄光」の為ではなく、「事業の成功の為に」と言い換えて同じフレームワークで事業構築すると考えてみる。現在のビジネス成功本に引用される理由が理解できる。プロ倫の出版された1904年から110年間、我々は資本主義の世の中に生きている。

 蛇足

誰もができる事、プロ倫のロジックを経営者、又は労働者、2つの立場で考える。