毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

たった1行の見出しで情報を瞬時に判断できるのはなぜ?~人の脳の不思議な能力

ひとの目、驚異の進化: 4つの凄い視覚能力があるわけ  

 チャンギージー氏は理論神経生物学。「なぜ、ひとの脳は、人工的な文字(アルファベット)を上手く処理できるか?」 

視覚系には、ものに似た視覚的刺激をものと解釈するための、生得的メカニズムが存在

 

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この図を目にしたあなたには、立方体が四角錐を部分的に視野から覆っているように見える。つまり、あなたはものを目にしているのだ。14本の輪郭線としては見ていない。12の結合部(輪郭線が集まる箇所)としても見ていない。

表記は、私たちの視覚系が何億年もかけて進化させてきた能力、つまり、ものを見る能力を活用するように文化的に進化してきた。表記は、単語がものに似ているように進化してきたのだ。(237ページ) 

3本の輪郭線からできる5種類の結合部

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YK、ψ、「人形」、「アスタリスク」、。それぞれの種類の結合部を得るのに必要な種類のものの配置も併せて示し、その結合部がどれほど一般的かという評価も添えてある。(251ページ) 

 視角系を活用した表記は人間をコンピュータにした

表記の登場は①紙に表記を記録する事により事実上無限の記憶スペースの提供と②記録された内容を簡単に読み出せる、という事を実現していると説明する。

私たちが万能の計算マシンに変われたのは、書かれたものはこれほど素早く簡単に読めるからにほかならない。たとえば、レシピは二進法でかかれていたら、つまり、全部01で書かれていたら、読む人などいない。

その結果「紙に書き留められたものであれば、どんなアルゴリズムでも実行できるようになった。一度に一行を覚えて、それを実行しては、次の行に進み、コードが次にするように命じることをしていけばいいのだ。恐ろしく複雑な手順も、本を何冊も埋めれば記録できるようになった。」

記録された内容を簡単に読み出せる=視覚系の特性を活用

私たち自身の計算能力が本当の進歩したのは、表記の登場そのもののおかげではなく、文化が開発した種類の表記の技術のおかげ=「ものを認識する脳の自然な能力を活用する表記のおかげ」だった。自然に見られるもののような形をし、そのために目にとって最適化した表記の発明とともに、ホモ・サピエンスは質的に新しい種類の動物、「ホモ・チューリンギピクテスク」となったのだ。(270ページ)

私たちは認識しやすい様に世界を変えている

 私たちは文化を通じて、目に合うように周りの世界を変えられる。自然淘汰は、目が自然界のものを上手に処理できるようにした。そこで、文化は自然界のもとで似た特性を持つ視覚的記号を進化させた。目ができうるかぎりうまく処理できるように。(274ページ)

 

漢字は表意文字であり、アルファベットより更に視覚情報を活用しているのは言うまでもない。アルファベットと同様により人工的なひらがなに漢字が入る事で認識スピードが更に向上する。

蛇足

2進数で表記されたTwitter,誰も読まない。