毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

地球規模での絶滅と繁栄のサイクル、スノーボール・アース

スノーボール・アース

全地球凍結(ぜんちきゅうとうけつ)とは、地球全体が赤道付近も含め完全に氷床や海水に覆われた状態である。(WIKI)

約29億年前           ポンゴラ氷河時代

約25.5~22億年前        ヒューロニアン氷河時代

約7.3億年前~約6.35億年前    スターチアン氷河時代・マリノニアン氷河時代

 

スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

Gウォーカー氏はサイエンスライター。本書はスノーボール・アースについてポール・ホフマン博士が1998年に論文を発表する経緯を追ったもの。地質学が曖昧さを残す中で「末日雪玉信仰教会の教祖」と揶揄されるほどの迫力で伝道した経緯と、それに至る先駆者の流れが紹介される。

2011年7月に惑星科学セミナーで東大の田近英一博士がスノーボール・アースについてセミナーを行っている。この資料をベースに本書の骨子を整理する。

スノーボール・アースの根拠

①ドロップストーン:1963年ブライアン・ハートランドが氷河が地球全域にあったと発表

②古磁気の記録:1992年ジョー・カーシュウィンクが古磁気の記録と酸化鉄鉱石の地層からスノーボール・アースの仮説を発表、(スノーボール・アースの言葉はカーシュウィンク氏)。

③炭素同位体:1998年ポール・ホフマンが炭素同位体の構成から地球規模での生命減少の低下とスノーボール・アースの仮説をリンクして発表

f:id:kocho-3:20131210064610p:plain

これらから地球は例えば大陸の移動や大陸氷床などの影響から寒冷化が始まるとある臨界点から温室効果が低下し一気に全地球凍結の状態に移行する、全地球凍結の状態は長期間にわたって続くが、火山活動によりCO2の蓄積が臨界点を超えると一気に温暖化する、というサイクルを説明できる。

f:id:kocho-3:20131210064717p:plain

更にスノーボール・アースの後には酸素の増大によって生物の進化、多様化が促進されたと推測される。最後のスノーボール・アースの後はエディアカラ生物という初めての多細胞生物が誕生しその後のカンブリア爆発につながると考える事が可能。

f:id:kocho-3:20131210064822p:plain

エディアカラ生物群

約6億 - 5億5千万年前の先カンブリア時代の生物の化石と推定され、オーストリアラリア・アデレード近郊で発見された。直径数十cmにもおよぶ多種多様な軟体性の生物が見られ、地球最古の多細胞生物ではないかと考えられている。(WIKI)

f:id:kocho-3:20131210065500p:plain

全生物は絶滅寸前と、多様化・複雑化のサイクルを繰り返してきた。そのサイクルに周期性は、ない。

蛇足

ITの素晴しさを実感する、そして田近先生に感謝申し上げます。