毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

巨大な天体「ヒミコ」をアルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測

宇宙の夜明けにある巨大天体ヒミコの姿

ハッブル宇宙望遠鏡とアルマ電波望遠鏡の観測で明らかに、と発表。

東京大学宇宙線研究所の大内正己准教授(カブリ数物連携宇宙研究機構科学研究員を併任)らは、ハッブル宇宙望遠鏡とアルマ電波望遠鏡による最新の観測データを使い、宇宙が8億歳(現在の宇宙年齢の僅か6%)だった時代に存在するヒミコと呼ばれる巨大天体が複雑な構造を持ち、希な三体合体を起こしている事をつきとめました。またビッグバンでは生成されない重い元素が発する電波は検出されず、この巨大天体は原始的な古代の天体である事がわかりました。 

原始的な星の名前がどうしてヒミコなのか?

ハワイのすばる望遠鏡で日米英の国際研究チームによって2009年発見された。129億年前の光であり、宇宙の始まりから8億年のころの天体で、「今まで宇宙初期時代で発見された物体として最も大規模なもの」であるとされる。この天体は3世紀に存在したとされる邪馬台国の女王卑弥呼にちなんで名づけられた。(Wiki)

 

宇宙で最初の星はどうやって生まれたのか (宝島社新書)

吉田氏は宇宙物理学者。ファーストスター(最初の星)の誕生は宇宙誕生から3-5億年後(134-132億前)、宇宙にあるダークマターという物質に、水素・ヘリウムガスが集まってできる。吉田氏はこのファーストスター形成のシュミレートを行った。

広がる宇宙のつぶつぶたくさんシュミレーション

初期条件を以下の様に設定する。

・一辺10万光年の領域を設定

・水素とヘリウムとダークマターを表す10億個の粒子を設定

・10億個は宇宙マイクロ波背景放射の結果に基づき濃淡の差をつける

以下吉田氏の説明

星の生成にかかわる力でもっとも重要なのは重力ですから、10億個のつぶつぶひとつひとつに対して重力計算をしていく。もちろん、この計算は、ダークマター同士、ガス(水素+ヘリウム)同士、そしてガスとダークマターの間に働く力と、すべての粒子に対して行います。そして、個々のつぶつぶの位置と速度の変化を追っていけば、どのようにつぶつぶが寄り集まっていき、星が誕生するのか、その過程を再現できることができるというわけです。これが宇宙論的N体シュミレーションのおおまかな中身です。(100ページ)

ところで宇宙論的N体シュミレーションは、私が考えたものではありません。(中略)当初は、数百個の銀河を粒で表し、それらが重力相互作用によって銀河団を形成するかどうかを確かめるために、宇宙論的N体シュミレーションは使われていました。粒の数が100個程度しか扱えなかったのは、コンピュータの性能がまだ低かったからです。それが、だんだんと進歩し、普通のパソコン数千台分の能力を持つ、スーパーコンピューターの登場などにより、扱える粒の数は飛躍的に増えていきました。(112ページ) 

吉田氏ははてな宇宙「第5回:宇宙の構造形成」 - YouTubeでシュミレーションの一端を披露している。左が吉田氏の画像、右がヒミコの画像、私はここに128億年前の躍動感を感じる。

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