毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

数量化革命

 数量化革命

クロスビー氏は米国の歴史学者。ヨーロッパ帝国主義が驚くべき成功を納めた原因を「事物を数量的に把握する思考方法」に求める。

1560年「節制」ブリューゲル画

そのテーマとは、秩序を求める切実な欲求である。「節制」の登場人物の多くは何らかの形で現実世界の素材を均質な単位の集合体として、すなわち数量として、視覚的に表現する作業に従事をしている。ここで用いられる単位は、リーグ(約5㎞の距離の単位)、マイル、角度、文字、ギルダー、時間、分、音符である。(24ページ)

この絵には天文学者、製図技術者、聖書(印刷)、教育、商人、会計士、音楽、そして中央に節制をシンボルする女性(眼鏡を持ち時計を頭に頂いている、本書表紙の中央に拡大されている、)が描かれている。機械時計は当時のあらゆる計量装置の中で、ヨーロッパ社会の性格を最も明確に表していた。」(23ページ)

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視覚化と数量化のプロセス

西ヨーロッパでは西暦1300年前後の驚愕すべき数十年の間に、時計と空間および物質的な現実世界を認知する枠組みに変化が生じ始めた。(中略)従来より純粋に視覚的にかつ数量的に認知する新しい枠組みを発展させた。(287ページ)

①考察する対象をその本質を明確に示す最小の要素に還元

②その結果を紙に描いて視覚化する

③その結果を均一な単位量の分割することで対象を計測し、問題を数量的に表現する。

➃ここで初めて表現する主体から独立して数量の分析のみに対し考察、実験、シュミレーションが可能となる。

機械時計の発明~1270年代と推計

時間を以下にして計るかという問題の解決が可能となるのは、時間を滑らかに流れる流動体とみなすのをやめて、ある長さをもった瞬間が連続したものとみなし始めるときである。(1100ページ)

時間の量子化

著者によれば機械時計に「脱進機」という、鹿威し、と同じメカニズムが組み込まれた事が機械時計の成立と分析する。

http://www.tokeizanmai.com/escapement.html

落下エネルギーを時間で区切る、私は時間の量子化という表現が適切と考える。