毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

量子コンピュータ

量子コンピュータ

従来の計算機(量子計算機に対して、古典計算機という)は1ビットにつき、0か1の何れかの値しか持ち得ないのに対して、量子計算機では量子ビット (qubit; quantum bit) により、1ビットにつき0と1の値を任意の割合で重ね合わせて保持することが可能である。(wiki)

量子コンピュータとは何か (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)  

ジョンソン氏はサイエンスライター。本書では数式を使わずに量子コンピュータについて説明している。

1982年、ファインマンがある解決法を提案した。それ自身が量子力学に則って動作するようなコンピュータを使ったらどうだろうか、と考えたのである。このスイッチは粒子同様、1か0かに限定されず、同時に1にも0にもなる。10個の古典的スイッチは、1024通りのスピンのパターンのうちたった1つしか表現できない。全部表現するには1,024のスイッチ列が必要だ。しかし、もり10個の量子的スイッチがあったらどうだろうか?それぞれのスイッチは同時に両方の状態を取れるので、たった一つのスイッチ列で同時に1024通りの可能性を表現できるはずだ。(81ページ)

理化学研究所:量子の制御とコンピュータ

2011年の講演で量子コンピュータの開発状況が説明されている。この画像から上記の意味がよりよく理解できる。また現在の開発の課題が量子状態の寿命と集積化と認識、理化学研究所のアプローチはこれらの課題を実装する研究が行われていると認識した。この講演では量子コンピュータの完成まで後10年は必要ではと説明している。

http://www.youtube.com/watch?v=zm5MSWobTJE

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アプリケーション~量子アルゴリズム

量子コンピュータは古典的コンピュータでは計算できない指数関数的なデータが増化する分野での活用が期待されている。本書では因数分解、タンパク質の折り畳み、セールスマン巡回問題などが応用例として挙げられている。小さな量子コンピュータが実現しただけでみ、量子力学の「多世界解釈」の正しさが証明された事になる。」(242ページ)か、「核融合、高温超伝導、人口知能など、論文の上では成功まちがいないとうされたアイデア」(246ページ)か、私は前者だと思う。認識できる事は実現できると言い換えてもいい。