毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

リチャード3世  遺骨の発見とシェイクスピア

2012年9月で英国でリチャード3世の遺骨が発見されDNA鑑定の結果本人と確認された。その後遺骨をめぐって裁判が発生したりとニュースが続いている。リチャード3世は薔薇戦争(1455-1485)後期のイングランド王。

シェイクスピアリチャード3世を「生まれながらの身体的障害をもバネにし、王位をものにしようと企む。巧みな話術と策略で政敵を次々と亡き者にし、その女性たちを籠絡して見事王位に就くが最終的には味方の離反で討たれる。」(ウィキペデイア)として描いた。 

英仏百年戦争 (集英社新書)

佐藤賢一氏は西洋史を研究しその後作家に転向、専門の西洋史を舞台に小説家として活躍されています。本書の「序、シェイクスピア症候群」で

「英仏百年戦争は本当に英仏戦争であったか?それはほんとうに百年戦争だったか?」(21ページ)と書いています。佐藤氏はその答えを「百年戦争はフランスの領主同士がそれぞれの領主の植民地であるイングランドを舞台に覇を競った。これによりフランスとイングラインドに国民国家(Nation States)の概念が初めて生じた」と解説する。

本書でカバーする時間軸は百年どころか数百年に及ぶ。シェイクスピアの歴史劇(リチャード三世、ヘンリー5世など)の意図、中世ヨーロッパと現在のEUとの断続性というものが把握できる。そしてリチャード三世の遺骨がニュースになるのも腑におちた。