毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

フォードの次にトヨタ、21世紀では”リーン”と呼ぶ『 大野耐一さん「トヨタ生産方式」は21世紀も元気ですよ』三戸 節雄氏(2007)

 大野耐一さん「トヨタ生産方式」は21世紀も元気ですよ―写真で見る「ジャスト・イン・タイム」

 大野耐一(1912~1990)はトヨタの元副社長、ジャスト・イン・タイム導入を遂行。ジャスト・イン・タイムはどうやって始まったのか?(2007)

フォード・システム

大量生産は「机上の計画」から成り立っているのです。景気や消費動向等々を勘案して時間を掛け大袈裟な市場調査をした上で、「これこれのクルマは、これだけ売れるはずだ」と経営計画を立て生産し販売します。その場合、生産現場の計画は、変更されるためにあるようなものです。・・・「フォード・システム」では、あらゆる工程に生産計画が示されていますから、すべての工程で後工程とは無関係に部品が製造され、一方では欠品がありながら、不要不急な部品の在庫が山ほどたまるという事態が生じます。(34ページ)

フォード・システムはプロダクト・プッシュ

たとえ机上の計画であっても、自動車が普及していない「売り手市場の時代」ですから、価格次第で「大量生産・大量販売」を実現できたはずです。壮大なビジョン、用意周到な準備、深慮遠謀の計画、そして積極果敢な実行・・・むろん紆余曲折はありましたが、「我に勝算あり」と読んでいたでしょう。・・・フォード1世は「つくれば売れる成長時代」に、顧客を満足させる「フォード・システム」を考えだしたのですから、十分に報いられました。ただし、成長下では「ムダ」が表面化せずに内攻します。成長が鈍ると「ムダ」がどっとでてくる。(108ページ)

ジャスト・イン・タイム

「余分の在庫を持たないで、お客さんの注文に間に合あせるにはどうしたらよいか。」「伝票が回ってきた分だけ、すぐにつくるにはどうしたらよいか。」「生産の流れをスムーズに保つにはどうしたらよいか」・・・必要なものを、必要なときに、必要なだけ供給する「ジャスト・イン・タイム」のつくりかたを実現するには、従来の考え方を引っ繰り返さないとできないことが分かりました。・・・逆転の発想のモデルは「フォード・システム」でした。(32ページ)

トヨタ生産方式」にとって何より肝心なのは、「モノ」より先に「情報」です。「注文という情報」があって初めて、「モノの生産」が可能になります。・・・絶え間なく変化する「マーケットのニーズ」を捉えるのが最重要テーマです。・・・「マーケットのお客さんが要求する、あらゆる流れのスピードを自在に受け止める」のが本来の経営です。(10ページ)

 

大野耐一さん、トヨタ生産方式は21世紀も元気ですよ

本書は1986年前後に行われた大野氏へのインタビュー、講演から引用される。本書は2007年に出版されたがその趣旨はタイトルどおり、「ジャスト・イン・タイムは21世紀も元気ですよ」である。トヨタの生産方式は米国で徹底的に研究され、時間重視の経営=リーン経営として自動車産業だけでなく電子産業、更には流通業などに広がり社会全体がジャスト・イン・システムを指向している。そのジャスト・イン・タイムは従来の常識であったフォード・システムを引っ繰り返す所から始まっていた。

フォード・システム~トヨタのジャスト・イン・タイム~米国でリーン生産へと変化、この大きな流れがビジネス戦略の底流にあることを知る。

蛇足

「ジャスト・イン・タイム」とは、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」

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