毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

そもそもビジネスとは冒険の旅、である~『 ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ』三枝 匡氏(2016)

 ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ

 上場企業のCEOに就いてから12年間もの長期にわたり実行した「会社改造」すなわち「改革の連鎖」を追っている。社員わずか340人の超ドメスティックな商社が、いまやグローバル1万人に迫る、世界で戦う企業に転換するためには何が必要だったのか。(2016)

40歳から事業再生専門家へ

私は20代から一貫してリスクをとり続け、時代を10年か20年、人より先取りする職業に挑戦し続ける生き方をしてきた。もちろん、そのなかには失敗作も含まれている。(12ページ)

40歳に到達した時点で、戦略コンサルタント、事業会社2社の社長、ベンチャーキャピタル会社社長という経歴を積んでいた。・・・日本で「ターンアラウンドスペシャリスト(事業再生専門家)」を名乗ったのは私が最初だと思っている。・・・当事者が追い詰められ、ギブアップしかけている事業をどうすれば元気にできるのか。その窮状から救うことを、職業に選んだのだ。依頼を受けた会社の副社長や事業部長に就任し、会社の内側から改革を推進するという仕事のスタイルだった。(14ページ)

ミスミの経営を引き受ける

・・・私はミスミの経営を引き受けることになる。就任後にミスミで数多くの改革を実行した。そのひとつひとつが苦難の連続だった。結果的に、CEO在任12年間で、ミスミは「会社改造」と呼べるほどの変貌を遂げた。(11ページ)

私は在任12年間でミスミのCEOから引退した。売上高が就任時の500億円から2000億円に近づき、340人だった社員数がグローバル1万人を視野に入れたところで、個人的にはまだ元気いっぱいだったが自分の役割を終わらせることにした。(439ページ)

本書をなぜ書いたのか?

私がミスミの社長就任を断り、別の会社でCEOを引き受けていたら、そこでも大きな改革を実行し、その経験をCEO退任後に出版した可能性がたかい。その場合、その本と本書のいずれを読んでも、読者が学びとる理論はかなり重複するだろう。「どこの会社に行っても同じ」。それが経営や戦略の「普遍性」である。(24ページ)

ザ・会社改造

三枝氏はミスミのCEOとして改革と大きな成長を達成した。その背景にはグローバル企業が経営スピードを上げているのにミスミが日本社会に適合してきた故に低成長に陥る大きな危険性に直面していたからである。

三枝氏は「難しい任務に自ら近づいていってジャンプすることが、人生の学びを極大化してくれる」(412ページ)と常に言っているそうである。本書は三枝氏の12年に渡るジャンプの連続の記録であり、またミスミという会社に関わった人々のジャンプの記録でもある。

そもそもビジネスとはチャレンジであること、を思い出させてくれる。

蛇足

本書はビジネス書の名を借りた冒険ストーリーである。

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